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ある日、認知症ドライバーに轢き殺されるという都市伝説

president.jp

プレジデントのサイトに掲載の記事がちょっとだけ話題になっていた。

 

「70万人の認知症ドライバーがアクセル全開して貴方のすぐ後ろに迫ってきている!」そんなような極限の恐怖を煽るスキャンダラスなタイトルだ。プレジデントの記事にああだこうだいったって仕方がないが、真面目な話として認知症ドライバーというのはそれほど社会的に問題なのだろうか。

 

たしかに、ブレーキと間違えてアクセルを思い切り踏み込んで立体駐車場の4Fから射出された老人カーの話や、ブレーキと信じて踏み込んだアクセルが車を急発進させて非情にも孫を轢き潰してしまった老人カーの話などが、ここ数年は頻繁にニュースになってた気がする。「ぜんぶオートマ車が悪いんやないかい!」と言いたくなるが、老人の頭がぼんやりしてるのが悪いとい言われればそうかなと思わなくもない。高速道路を逆走するのはトランスミッション関係ないし。

 

そして日本は高齢化社会に突入しているから「認知症ドライバー問題!70万人の殺人鬼!」とか脅されたら一大事にも思えてくる。しかし総人口は2010年辺りにピークを迎えてこれから人口は減るばかりと言われてもいる。それでも交通事故ってのは、増えていくのだろうか。

 

今のところ交通事故は減り続けている。交通事故の24時間以内死亡者は、1970年のピーク時に比べたら四分の一くらいの4000人台になっている。65歳の高齢者は2050年には(僕は75歳になっている!)今の二倍くらいになると予想されるが、だからって死亡者がいきなり8000人になったりするだろうか。それはちょっと無理があるようだ。現状のラインから増えるか減るかは知らないけど、ここまでの傾向からすると、そう目くじらを立てる問題でもないように思える。

 

高齢者は免許を返上しなさいというような話で、かならず問題になってくるのが、地方の交通機関の乏しい地域だ。

 

車がないと生活が出来ないような地域で、年寄りから車を取り上げてしまったらどうするのかと。そんなわけにもいかないので、基本的にはこういう地域ではお年寄りでも身体がいうことを聞く限り(本人が認知症を自覚していないとかも含む)どんどん運転していくわけだ。すると田舎にいくほど交通事故の危険が強いのだろうか。そんな疑問もふと湧いてくる。

 

そこで交通事故はどういう地域で多く発生しているのかということを調べてみた。今まであまり興味が無かったので、なんとなく東京とか大阪とかの大都市が多いんやろな、などと漠然と考えていただけだった。実際にみてみると、現在のところ交通事故がダントツで多いのは実はあの地域だった。

 

愛知県だ。

 

そ、それは…すごく……納得がいく……。

 

御存知のとおり愛知県といえばトヨタのお膝元である。そして愛知県人の車の保有台数は(どういうわけか)やっぱりすごく多い。どれくらい多いかというと504万台もある。これは東京都の440万台や大阪府の396万台をも抜いてトップである。そんなだから愛知県は直近12年連続で交通事故数で一位をキープしていたりする。

 

交通事故発生ランキングでは愛知、大阪、福岡がトップ3で、その下に東京がくる。順当に大都会が並んでいる。

 

以上のことから、交通事故が発生しやすい地域というのは、都会かつ車の多い地域というのがわかった。そらそうか。

 

都市部で認知症ドライバーがちょっとアクセル全開にしたら、子供の集団に突っ込むかもしれない。でも田舎の過疎地域だったら軽トラが田んぼに突っ込むくらいの話で済みそうだ。やっぱり田舎の方が交通事故に関しては安全っぽい。

 

とはいえ、田舎の道はあまり人も車もいないというので、かっ飛ばしたせいで死亡事故が多いというデータはあるらしい。たしかに、一部の地方では、信じられないくらい車がかっ飛んできて、大阪からやってきた僕なんかが地元感覚で歩いていると、やたらめったら怖い思いをする地域もある。歩行者なんかあまり考慮してないのだろう。たとえば静岡県とかがそうであった。あと、静岡県とかでも怖い目にあった。そして事故発生ランキングで確認すると、静岡県は東京都の次だった。まあ、愛知県の隣でもあるしそうなのかも。

 

では日本全体ではどうなのか。

 

日本国全体の自動車保有台数というのを今さら調べてみると、驚いたことに1966年から2014年までずっとずっと右肩上がりだ。トラックとかバスなどはピークを迎えて減少傾向にある。しかし、乗用車はすごい。1966年には200万台くらいだったのが、2014年ではなんと6005万台。1966年には87万台だったバイクは357万台。これはきっと原付きとかがほとんどなのだろうけど。

 

日本人口はピークを迎えたというのに、自動車の保有台数は上がり続けている。それも6005万台もある。トラックやバスなんかは税金や維持費が大変だし、経営に直結するものだからおいそれと保有出来ないから減るのはわかる。しかし乗用車は、中古車や軽自動車などの割合を増やしているかもしれないにしろ、保有台数というのはひたすら増え続けていたのだ。

 

車離れとか叫ばれて久しい。けれど、統計を見ると、ここ10年くらいで400万台以上は乗用車が増えている。大阪府の車保有台数くらいは余裕で増えているのだ。充分すぎないだろうか。これだけ国民に車が行き渡っていたらおいそれと売れるわけないのである。

 

話を自動車事故に戻す。

 

1970年には、乗用車、バス、トラック、二輪、特殊車両あわせて1652万台くらいあって、年間に16000人以上が交通事故で死亡した。

 

2014年には8027万台を超える車両があるにもかかわらず、4113人しか亡くなってない。一体どんな魔法を使ったのかと考えさせられる。もちろん24時間以内死亡であるから、医療の問題も絡んでくるのだろうけど、シートベルト着用義務やエアバック装備など、車両の安全性の向上と法規制の強化が大きいと言われている。

 

死亡者数に比べて、負傷者数というのはそこまで劇的に減っていはいないけれど、1970年よりは確実に少ない。車の台数は圧倒的に多くなっているにもかかわらずである。

 

今が凄いのか、昔の運転事情が無茶苦茶だったのか。昔がかなり無茶苦茶だったのだろうという気もする。今じゃ考えられないが、バイクもノーヘルだったし、酔っ払い運転も上等だったし。他もいろいろ荒々しかったに違いない。

 

しかし、認知症ドライバーの問題なんか、すっかりどっかにすっ飛んでしまうくらいの数字のインパクトだ。車両台数が45年前の4.8倍以上も増えているのに、その頃よりも死亡事故が1/4ということはつまり………つまり……かなり死ににくいと言える。(誰か正しく計算して)

 

ただし、登録台数に対して、実際に道路上で稼働している車両が、どれくらいになるのかはわからなかった。

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