温玉ブログ

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ブレンディのCM動画は観るな。そして続編の方はもっと観るな。

www.youtube.com

上記のブレンディのCFがものすごいってんで話題になってたので観てみたらぶっとんでた。なみのホラー映画よりも怖い。たった2分半によくこれだけ様々な背筋の寒くなる要素を凝縮したと思う。2分半とは思えない長さを感じた。普通のCFでは無いだろう。どこで公開されてるのか。僕はテレビは見ないからテレビで流れているのかどうかは知らない。

 

そんな僕がこれを知ったのは、てっちゃぎさんのブログがあってこそだ。というか、てっちゃぎがブログにしたためてわざわざlineで送ってきてくれた。ありがとうてっちゃぎ。

tettyagi.hatenablog.com

まず何のCFかさっぱりわからないところが怖い。子供たちがみんな鼻輪をつけているのが怖い。何の説明もなく。そして学校の卒業式みたいな場面が出てきて、一人づつ呼びだされている。しかしおかしい。卒業証書を渡されるとともに、なんか就職先みたいなものまで言い渡される。職業訓練校みたいなあれ?よくわからんけど世界観が……。

 

山田ファームに配属が決まった鼻輪をつけた男の子はそれなりの顔。

ロデオパークや、動物園に決まった子はめちゃめちゃ嬉しそう。

 

動物関係がそんなに好きなのか?

 

闘牛場に配属が決まったオラついたDQNはめちゃめちゃ暴れて取り押さえられる。

田中ビーフに配属が決まった子は泣き崩れて周りも「気の毒に」「かわいそう」みたいなざわつきがおきる。懐かしの『バトル・ロワイアル』を思い出す。(特に映画のほう)

 

そこに「進路は時に不平等な現実をつきつけてくる」と暗いナレーションが入る。

 

なんかわからんけどすごいディストピア感がある。やっぱりこいつら奴隷かなんかなんか。そして映しだされた卒業証書や後ろの横断幕を見ると卒業式じゃなかった。

 

「卒牛証書授与式」

 

卒牛!!

卒牛!!!

 

つまりこいつら奴隷どころか牛だったのだ。山田ファームだったらのんびり農業かなんかに従事できるということでとりあえず安泰。動物園やロデオで見世物にされるのは考えうる限り最高の進路らしい。

 

そしてもちろん闘牛場と田中ビーフは死刑宣告だ。

 

ものすごい勉強したり努力したりして、見世物として天寿をまっとうするポジションを目指す。出来の悪いやつも闘牛としての死の見せ場が用意される。箸にも棒にもかからないやつは、せめて食肉として有効活用される。やっぱりディストピア感がすごい。

 

人を牛になぞらえて社会を皮肉っているとか、牛を擬人化して映像にしたとか、いろいろの解釈が可能なんだろうけど、僕は全体からただようただならぬディストピア感を最大限に支持して、こいつらは遺伝子操作で極度なまでの人間化を施されたバイオ牛なんだと理解したい。まあ、いってみれば、遺伝子工学で創りだされた件(くだん)といえるだろう。件といえば、凶事を予言するといわれる、人と牛のあいの子の妖怪だ。

 

SF小説の大家である小松左京のホラー小説に「くだんのはは」という禍々しい作品がある。鼻輪をした高校生たちの見るものを不安に陥れる風貌は、まさに「くだん」から発する妖気だったに違いない。

くだんのはは (ハルキ文庫)

くだんのはは (ハルキ文庫)

 

家畜牛の管理と飼育の効率性と質の追求の行き着く先が、牛の人間化だったというSFホラーはありそうである。ディストピアSF小説は逃げ場なんかどこにもない感がものすごく怖い。『1984』とか。『動物農場』とか。『すばらしい新世界』とか。『家畜人ヤプー』とか。映画だったら『未来世紀ブラジル』だ。

 

一九八四年[新訳版] (ハヤカワepi文庫)

一九八四年[新訳版] (ハヤカワepi文庫)

 

 

動物農場―おとぎばなし (岩波文庫)

動物農場―おとぎばなし (岩波文庫)

 

 

すばらしい新世界 (光文社古典新訳文庫)

すばらしい新世界 (光文社古典新訳文庫)

 

 牛たちは、人間のような知能と肉体を与えられて、自分が最高に輝くように努力をさせられる。自分の人生のために頑張っているように勘違いさせられているがぜんぶ人間の利益のための努力だ。ヒューマノイド牛たちが、見世物になっても、食肉になっても、どれもこれもニンマリとした顔で享受するのは人間たちだ。ヒロインにあたる女生徒の両親みたいな人も、鼻輪をつけているのが不気味である。牛の親が、牛の子供を、人間さまの最高の役にたつ牛になるように、願っている。牛の親はなんの役目を担っているのかはわからない。あ、種牛か。

 

卒牛証書とは、文字通り「牛を卒業した」証明書を渡す儀式だ。あるものは、屠殺という方法によって「牛を卒業」して「肉」になるのだろうけど、それ以外のものは「件(くだん)」としてやっていくことを認められるのだ。

 

ヒロインはめちゃめちゃ勉強し、死ぬ気で飯をつめ込んだり、運動したりして、極度に乳を肥大化することに成功する。そしてその結果勝ち取った役目は「濃い乳を出し続けなさい」だった。

 

卒牛証書をわたしながらニンマリする校長。

 

こ、こいつには鼻輪がない!

 

つまり校長は本来ならばこいつらヒューマノイド牛たちの敵!飼育管理施設の所長かなんかだったのだ!

 

遺伝子操作された牛(件)の乳はきわめて母乳に近いのだろう。そんな牛乳を供給する役目を仰せつかり感無量の女生徒。つうことはたぶん、人間に近い遺伝子構造を利用して、臓器バンクにされるヒューマノイド牛なんかもいるのだろうという連想にいきつく。そんな役目に決定されるよりは、母乳係の方がまだ幸せっちゃあ幸せか。しらん。

 

そしてそんなバイオな母乳がたっぷり入ったミルクコーヒーがブレンディ?

 

おいおいなんのコマーシャルやねん!そうだったこれはCFだったのだ!

 

うわぁ、こんな壮大なストーリー見せられたら、ブレンディ飲みたくなるわあ……ってなるかバカ!

 

これはどうも、ブレンディのCFの体を借りて、短編映画を撮影したということらしい。こういう短編映画のスポンサーがたまたまブレンディだったと考えればオーケーだ。だから少々無理があったもオーケーなのだ。

 

だからこれも

Blendy特濃ムービーシアター

とかではなく

 

AGF提供ブレンディ恐怖SF短編劇場

 

こう冠がついてりゃ納得できる。

 

飼いならされた高校生たち。鼻輪と奴隷感。女子高生は動物園で見世物か、搾乳=セクシャルな消費をされるのが最高のポジション。日本の社会をひどく皮肉っているように思う。たった2分半でここまでやれれば十分なんでは。

 

いうても僕は背筋が寒くなった。家畜が人になるか、人が家畜にされるのかは知らん。なんどもいうが、件(くだん)は凶事を予言すると言われている。

 

「この短編映画は、バイオ件たちの姿を描きつつ、日本の暗い未来を予言しているのだ!警戒を怠るな!」

 

というようにでも好意的な解釈をする方が、作った人(だれか知らん)も喜んでくれるのではと思うのだけど。まんがいちそうじゃなかったとしても、少なくとも精神衛生上は良いと思う。

 

ちなみにこれは2014年にキャンペーンで公開された作品らしい。もう特設サイトも閉鎖されている。なんでいまごろ話題になってるのかは知らない。そして当時は続編もあったようだ。続編もYouTubeにあがっているのだろうか…と思ってたらあった。しかしSFホラー色はまったく無くなっていた。

 

というか、つながりすらほとんどあってないような!?なんじゃこりゃ!?見なくていいよ!?

www.youtube.com

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