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呉にいって伝説の生ビール店でサッポロを楽しんだ話

広島市尾道市には何度も足を運んでいるが、呉市に行くのは滅多になくて、二回目の訪問だった。呉といえば軍港で有名で、駅からすぐのところに戦艦大和の模型を飾った博物館があったりもする。僕としてはそれよりもその横にある無料で入れる海上自衛隊呉資料館「てつのくじら館」の方が面白いかと思う。実物の潜水艦の中にも入れるし。

 

今回の訪問では軍港関係には目もくれなかった。明確な目的があったからだ。それは生ビールを飲むことだ。生ビールなんてどこでも飲めるけれど呉には珍しい店があって、戦前からの骨董品のビアサーバーをいまだに使っているということだ。日本中でも数えるくらいしか残ってないのではないか。それの一つが呉にある。

 

そもそも生ビールの古いサーバーに興味をもったも広島の重富の生ビールを飲んで感銘を受けてからだった。いろいろ調べていると呉にそんな店があるという情報を手に入れた。だから行きたい行きたいと思っていたけれど、呉には他に用事もないのでなんとなく行かないまま2年以上経ってしまっていたようだ。

 

これじゃイカンということで「生ビール1杯のために」という鉄の意志をもって呉を再訪することにした。だから他の余計なことは何も考えないようにした。他のいろいろはビールを飲みおわって時間が余っていたら決めたら良いことだ。

 

訪問する数日前に『この世界の片隅に』という映画を観ていてたまたま呉が舞台であったけれどそういうこともあまり考えないことにした。あれやこれやと観光なんかしていて、肝心の生ビールがなくなってしまっては元も子もない。インターネットをもって調べてみたところ、そのお店は15時にオープンして売り切れまでやるらしいが、19時までには終わってしまうなんて事が書かれていたくらいだ。ただごとじゃない。

 

 大阪を暗いうちに出て、在来線を乗り継いで呉の駅に到着したのは昼過ぎだった。数年ぶりだったので駅の形を覚えてなかった。さっそく呉の商店街である「れんが通り」の方向に歩いて行く。たいていのJR駅は街の中心地から離れているのが常だ。ここも少しだけ距離がある。

 

てくてく歩いていき目指すは珍来軒。呉冷麺というメニューを広めたラーメン店だ。どうせ生ビールまでは時間があるので、最低これだけは行こうと決めていた。昼時なのでいっぱい。当然か。食券だけ買って待つように言われた。名物料理だけあって冬でも冷麺を食べるお客さんが多い。だけど僕は前回の時に冷麺は食べているので、ラーメンの方が気になっていたのでそっちを頼む事にする。やがて店の中に通されてラーメンが出て来る。ちなみに呉冷麺は、やや幅広の麺でピリ辛味の冷麺のことなのだが、ここで供されるラーメンは、博多とんこつラーメンのごとき細麺で意外だった。そしてスープも豚骨ぽい白濁スープだ。呉冷麺とはまったく違ったタイプのうまさだ。スープは主張はないけどダシを楽しむ感じでしんみりしてしまう。次回もし来たらどちらを食べるか迷ってしまう。

 

珍来軒を出て商店街のアーケードに入っていく。Twitterで呉にいることをつぶやいたら「名物のフライケーキを食べよ」という情報が入っていた。そしたらすぐ近くに件のフライケーキ屋さんがあったのであって、すぐさま店に入って買ってみた。フライケーキというのは、要するにアンコの入った小ぶりの一個80円程度のドーナッツだった。揚げたてみたいな温かいのを新聞紙に包んで渡してくれる。さっそく食べてみると、脳天を突き刺すような甘さとサクサクの生地の濃い油とのコンビネーションにやられた。これはアメリカ人にも勝てるお菓子だと思った。

 

そしてまたフラフラと商店街を歩いていたら「びっくり饅頭」なるものを発見。なんぞやと思ったら、アンコと白あんとクリームのがあると書いてある。クリームのやつを買ってみることにした。渡されたのは大阪の回転焼きにそっくりな、円い生地を焼いたお菓子だった。食べてみると生クリームが入っていてたいそう美味い。富山で七越焼きというのを食べて驚いたがそれに匹敵する驚きっだった。びっくり饅頭という名前に強く頷いてしまった。

 

呉で伝説的な生ビールを飲ませてくれる店の名前はオオムラ亜という。商店街を探してみたらすぐに見つかった。アーケードの横道にある小さい店だった。店先にちょうちんをいくつもぶら下げてあって、サッポロ生ビールという看板を掲げている。扉が少しあいていて、開店準備中というところのようだ。ここまできて休業とかだったら浮かばれないので安心した。おそらくちょうちんに明かりが灯ったらオープンということなのだろう。

 

結局、提灯がついたのは、15時30分くらいだったが、飲み屋としてはかなり早い方だといえる。中に入ると一番乗りだった。女将さんが一人で切り盛りしているようで、薄暗い店内はカウンターだけのスナックといった間取りだ。

 

カウンターの中に金属製のデカイ箱が鎮座しているところがスナックとは違う。これこそが戦前から使い続けているという生ビールサーバーで、箱の中に入れた氷で冷やすというとんでもないものだ。コックも単なるカラン式になっていて、オンとオフしか出来ないから、ものすごい勢いでビールが出てきて泡が生まれる。ここの店で席に座ると問答無用に生ビールを出される。なぜなら500円の生ビール以外に飲み物が無いからだ。まさに生ビールの店だ。

 

出てきたのはきめ細かい泡が半分くらいまでびっしりと半分くらいまで詰め込まれたジョッキを置かれる。普段なら泡の多い生ビールは嫌だが、旧式サーバーを使ったクラシックスタイルであるから許してしまう。飲むとたしかに炭酸がとんで喉越しよい生ビールになっている。別にキンキンにも冷えていない。ぬるいわけでもない。これだとあっという間に飲み干してしまう。すぐに二杯目を注文する。カウンターに木の札を重ねてくれる。これが生ビールの飲んだ数になっている。おつまみは海苔とかチーズとかピーナッツとかソーセージ、がんすなど、1品200円か300円のものばかりだ。

 

三杯目を飲む頃になってくると店内は常連がかなり集まりだしていた。お年寄りの男性が中心だが、近所のおばさんといった感じの人もけっこう来る。もちろん全員に問答無用で生ビールが提供される。チューハイとか水割りとかっていうのではなくて、おじいちゃんもおばあちゃんもなく、全員等しく生ビールというこんなすごい世界があったのかと思った。こんな店はこれからは生まれないんじゃないか。今はビアガーデンにきたってチューハイとかカクテルとかが用意されていたりする。

 

三杯飲むと不思議とかなり酔ってしまったようなので退散することにした。あまり大きくないジョッキーに泡なみなみだったので普通ならば酔わないのだけど、炭酸が抜けてマイルドで飲みやすいのでいささか急ピッチだったのかもしれない。いつものサッポロビールよりも濃厚な何かを飲んだ気分にさせられた。おつまみ1品を入れて1800円だった。せっかくなんでいっぱい飲んでやろうとか考えてたけれど、あんまり腰を据え付けて長居するような雰囲気でもなかったのでこれで良かったのかもしれない。

 

そういえば前に広島の流川の重富で、たかがグラスの生ビールを2杯だけ飲んだだけなのにひどく酔っ払ってしまったのを思い出した。古いサーバーはビールを危険なものにしてしまうのかもしれない。それとも、自分にとってビールの炭酸というのは、アルコールを中和してくれる何かなのだろうか。そういえば、飲みすぎたときは炭酸水をぐっと飲むと気分がすっと楽になる。

 

詳しいことはわからないけれど。

butao.hatenadiary.com

 

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