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僕らがストリートファイター2と出会った頃の話を蒸し返しておく

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以前にストリートファイターとの出会いを書いたが、当時の初代スト2の思い出も書いておこうと思う。なにをいっても、スト2こそが格闘ゲームの王様だし、空前の格闘ゲームブームを巻き起こした金字塔タイトルだからだ。僕は『ストリートファイター』に出会い、そのゲーム性に魅了されていたのは前回の記事に書いた。その続編という触れ込みで登場した『ストリートファイター’87』あらため『ファイナルファイト』も少し遊んでいたが、「ヤッパリコレジャナイ」感がすごかった。

 

1vs1のタイマン格闘ゲームだった『ストリートファイター』から、『ファイナルファイト』では多数のキャラが入り乱れる乱戦格闘ゲームになった。これはある意味では進化かもしれなかった。しかし僕がやりたかったのは、やっぱりデカいキャラ同士のタイマン型のゲームだったし、波動拳昇竜拳竜巻旋風脚だし、もっといえば主人公のリュウが飛行機に乗って世界各国を訪問して欲しかった。プロレスラーが市長をする街での乱闘とかはあまり興味がもてなかった。

 

ファイナルファイト』は少し遊んでソドム(後にストリートファイターZEROで再登場を果たした中ボス)を倒せたり倒せなかったりするくらいのところで辞めてしまった。でもカプコンも『ファイナルファイト』の大ヒットに気を良くしてこの手のゲームを連発していた。『キャプテンコマンドー』とか。『キャデラックス』とか。もちろんそれはそれでちょっと遊んでいたけれど、やはり心底から熱くなるところまではいかなかった。

 

ファイナルファイト』は『ストリートファイター』の続編を要望したアメリカ市場の要請によって作られたそうだ。でっかいボタンをぶったたいてタイマン勝負していくという単純明快なゲーム性が、アチラでは大いに受けたのだろう。アメリカ側では『ファイナルファイト』をみて「話が違う!」ということになったそうだ。どうも僕の感覚はアメリカに近かったようである。『ファイナルファイト』みたいなちまちました攻略が必要なゲームは面倒くさいと思ってしまう。(そうは言いながらも新作が出るたびにプレイはしてみたけれど。『天地を喰らう2』とか。『エイリアンvsプレデター』とか。)

 

ファイナルファイト』型のベルトコンベアアクション(いつのまにかそういうジャンル名がついていた)ブームも一段落したころ「そろそろ、ちゃんとストリートファイターの続編を出すか!」とカプコンが重い腰をあげたかどうかは知らないが、とにかくしばらくしてようやく本当の『ストリートファイター2』が開発されることになる。作ったのは『ファイナルファイト』で実績を挙げた西谷亮(あきら)という人だ。ちまちまと計算され尽くした戦略性のあった『ファイナルファイト』の生みの親だけあって、『ストリートファイター2』も前作の豪快さに加えてものすごく戦略性のあるゲームになっていた。当時はゲームのプロデューサーが誰とかいう話はほとんど気にもとめてなかったユーザーが大半だったし、僕も西谷亮とかいう名前を知ったのはずいぶんとあとになってだけど。

 

僕が初めてスト2に遭遇したのは行きつけのゲーセンだった。発売して即入荷していたとは思う。ものすごくグラフィックが綺麗になっていたので興奮した。「よっしゃスト1で磨いた波動拳の腕前を披露してやるか!」と思ったのもつかぬ間、みんなバンバン波動拳を連射していた。なんだそれ!?

 

自分の順番が回ってきて理解した。今回の波動拳はすごく簡単だった。竜巻旋風脚も。あと、スト1では最高難易度だった昇竜拳ですら、いともたやすく出てしまう。これはすごい。と、同時に、少しだけがっかりした。前作から遊んでいたアドバンテージがまったく活かせないとわかったからだ。しかも波動拳昇竜拳を相手にぶち当ててもぜんぜん体力が減らない。現代の格闘ゲームの基準からいえば、初代スト2波動拳の破壊力はぜんぜんすごかったのだけど、なにしろ僕のやってた初代では、体力が三分の一も減っていたのだ。それに比べるとぜんぜん必殺技じゃなかった。波動拳だしてりゃオーケーみたいな大雑把なゲームじゃなくて、かなり緻密な駆け引きのゲームに生まれ変わった証拠ではあるけれど、最初は少しだけ残念感があった。

 

スト1の時は、リュウ(ケン)しか操作できなかったので、敵キャラクターを使って遊びたいという気持ちがずっとあった。今回の2はリュウとケン以外の敵キャラクターを使って遊ぶことも可能だった。ただしリュウとケン以外は、前作に登場したキャラクターはひとりもいなかったので寂しかった。ゲンやアドンなんかが復活してくるのはずいぶんと後の話だ。しかし前作にはまったくなかった溜めコマンドというのが斬新だったので、最初に少しだけリュウを触ってみたあと、しばらくガイルを使ってみたりしていた。

 

ガイルといえばソニックブームで相手のジャンプを誘い、アッパーやサマーソルトキックで迎撃するのが基本コンセプトだ。しかし当時といえば、レバーを後ろ斜め下に入れてガードしつつもソニックとサマーを同時溜めが可能ということすら知らないわけで、そんな基本戦略すら最初は誰も思いつかなかった。スト1には波動拳で飛ばして、昇竜拳で落とすなんて発想は全く無いゲームだったわけで(一部の狂気的プレイヤーは初期の段階からやっていたかもしれないけれど)。

 

あとプレイヤーが選べるキャラクターの中に春麗(正式には「チュンリー」だが、みんな「しゅんれい」と呼んでいた)という女性キャラクターがいたのは衝撃的だった。可愛くて、しかも足がぶっとくて、当時のゲームのグラフィックの水準をはるかに超えた異常なるエロさがあった。ゲームのエッチさのオーパーツともいえる存在だった。小中学生のプレイヤーも多かったので、みんな春麗にひたすら大足払いを繰り返したりしてさんざんゲーセンで興奮していた。エドモンド本田を使ってしつこくサバ折りを仕掛けるのもお約束だった。

 

今でこそこの手のゲームは対戦ツールとして認識されているけれど、この当時は1の延長線の感覚しか皆もっていなかったので、ひたすらCPU戦でエンディングまでたどり着くのを目指していた。意外すぎてあまり覚えている人もいないかもしれないけれど、超初心者にとって最初の壁はザンギエフ戦だったりした。なにしろ前作には「投げ」という要素が無かったので、投げの攻防をよくわかってなかったから、近寄ったら容赦なく投げてくる上に、打撃も超破壊力のあるザンギエフは脅威そのものだったのだ。ちょっとやれば画面端で飛び蹴りを繰り返しているだけで勝てるというのがわかってきたけど。というかザンギごときにCPUパターンで対抗しないと勝てないというのが、始めた当初のプレイヤーたちのとんでもなく低いレベルを物語っている。

 

全8キャラのうちプレイヤーキャラを除く7人を倒した時点で終わりかと思いきや、バイソン、バルログサガットが登場するという演出にはびっくりした。完全に隠れキャラだったうえに、リュウとケンしかいなくて寂しく思っていた前作のプレイヤーにサガットがラスボスとして出て来るのは心憎いばかりだった。しかも前作の反省を活かしてタイガーアッパーカットとグランドタイガーという新技を身に着けているというストーリー性の高さも素晴らしかった。

 

さらにさらに、今回もサガットを倒して終わりかと思ってたら、ベガとかいう帝都大戦みたいな変なキャラが真のラスボスとして出て来る!どこまで人を驚かせれば気が済むのかと!

 

そうなのだ。当初はベガは、隠しボスのさらに隠しボスといった立場だったのだ。というわけで後年に発売されたスパ2Xに登場した豪鬼は、隠しボスの隠しボスの隠しボスだったりする。どうでもいいけど。

 

みんなこのベガを倒してエンディングを拝みたくてプレイしていたわけだけど、慣れない格ゲーなのでなかなか難しい。スト1からやっていた僕らは格ゲー慣れしていたのかと勘違いしていたが、猿のように波動拳を連発してエンディングにたどり着いていただけだったのを思い知らされることになる。単に波動拳のコマンドに慣れていただけだったのだ。前作でもクリアまで時間がかかったが、今回もすぐには無理だった。

 

稼働から数日くらいで広まったのは、新キャラのエロい女である春麗の圧倒的な強さだった。

 

「こいつでレバーを相手の方向に入れっぱなしで中パンチしてるだけで勝てるで」

 

本当だった。他のプレイヤーのプレイを見てると中パンチだけの単調なプレイでCPU相手に盛り盛り勝っていた。CPUがガードしていない場合は立中パンチが突き刺さる。ガードされていた場合はスタスタと歩いていって無慈悲に投げ捨てる。いずれにせよ初代スト2ではものすごいダメージだしCPUに返されることはほとんど無かった。初代ストリートファイター波動拳連発の再来だった。下手したらもっと安定していたかもしれない。ゲームプレイヤーが投げハメに覚醒した瞬間だった。

 

「とりあえず初心者は春麗でクリアを目指せ!エロいし!」

 

これが原始スト2プレイヤーの合言葉だった。そして僕もたぶん最初に1コインでベガを倒すまでいったのは春麗だったと思う。

 

そうなってくると8キャラ全部でクリアしたくなるのが人情だ。みんな全キャラクリアーを目指して頑張り始めた。まあ、春麗で軽くクリアできるくらいになると、投げハメを使えばどんなキャラでも勝てる。ザンギエフダルシムだけは癖が強すぎてみんなちょっとだけ手こずっていた。しゃがんでいてもサガットタイガーショットに当たってしまうのもこの2キャラだけだったし(ダルシムなんて初代ならでは)。でも結論としてはザンギとダルシムも投げハメが超強力なので簡単ではあった。

 

当時はザンギとダルシムはCPUはともかく自分で使うとものすごく弱いんじゃないかという認識がみんなの中であった。だいたいレバー1回転で出るスクリューパイルドライバーって何なんだと。最初は誰もまともに出すことは出来なかった。後になって対人戦が流行りだすとダルシムの卑怯ともいえる強さが判明して驚愕した。そしてザンギエフはやっぱり最弱ではあったけど、スクリューパイルドライバーはある意味で最強すぎる必殺技だというのが知られてきてやはり驚愕した。スクリューパイルドライバーを完璧に使いこなせば、文句なく最弱とまでいわれたキャラの強さを、瞬間的には最強レベルにまでひっくり返すことさえも可能だったのだ。そういう意味でもスト2は最初からかなり奥の深いゲーム性を備えていた。

 

さて、CPU攻略も一巡してきて、僕のようなノロマなプレイヤーでも全8キャラでの1コインクリアを達成して当たり前みたいになったきた頃、ぼつぼつと対戦というのが流行ってきた。といっても、通信対戦台なんてものはまだ存在していなかったので、テーブル筐体に横並びに座って対戦していた。なかなか見ず知らずの他人に乱入する勇気は無かったので最初は友達同士で戦っていた。

 

そのうち暗黙のうちに乱入対戦台みたいになっている筐体がどこのゲーセンにも現れてきて、みんな代わる代わるに何も言わず乱入を繰り返すようになってきた。最後の方はゲーセンも「乱入台」みたいなポップを置いたりするようになってきたと思う。スト2の末期になってくると対戦がものすごく流行ってきていた。

 

初代スト2は対戦ツールとしてあまり厳格に作られていなかったが、あくまでも現代の基準に当てはめた場合の話で、スト2の後追いで作られた他社製品(例えばナムコの『ナックルヘッズ』とか)と比較すると完成度の差は歴然だった。

 

とはいえスト2は対戦ツールとしては致命的な弱点があって、同キャラ対戦をサポートしていないというところだ。たとえば僕は対戦用にブランカを使うと決めていて、友達のガイルと熾烈な対戦を繰り広げていたもんだが(今でいうガイルブランカ戦)、もし同じようにブランカを使う人に乱入しなくてはならない場合、何か別のキャラを使わなければならないわけだ。

 

だから最低でも2つのキャラをそれなりに使いこなす事が出来なれば対戦プレイに支障をきたす。その点においてはリュウ・ケンの場合はほぼ同キャラ戦が出来たので有利だったかもしれない。もちろん初代スト2におけるリュウ・ケンというキャラそのものの弱さ(ハメとか汚い手を使わないと確実に詰む!)とか、実は打たれ弱いというバグをもっているリュウよりも、ケンの方が上位互換キャラであるというマニアックな要素は抜きにして。

 

まあでも、あの当時に対人戦に手を出そうというプレイヤーはCPU戦で全キャラクリアーを達成していた人間ばかりだったから、いちおう全キャラ使えるのは前提みたいなところがあって、同キャラ戦が出来ないという部分には、そこまで疑問を感じて無かったのも事実。今の格ゲーなんてのは対人戦ありきなところがあって、自分の使いたいキャラ決めたら、脇目もふらず練習して、他のキャラなんか一度も触った事がないなんて普通だけど、当時はあくまでも対人戦というのはシングルプレイの先にあるものだったのだ。

 

誰かがそのキャラを使っていたら、別のキャラを使うしかないなんてのは「そういうもの」という感覚だった。例えばファミスタでどちらかが阪神を使ってたら、他のチーム使うしかないといったのに近いところだ。本当にそんな感じだった。

 

後で初代スト2で同キャラ対戦が出来なかった理由として、「メモリーの限界いっぱいまでプログラムを使い込んでいたからだ」という話を知ってびっくりした。リュウとかなら可能だけど、例えばザンギエフダルシムみたいなキャラを画面に2つ同時に配置することは出来ないということらしかった。当時としては掛け値なしに限界点まで作り込んでいたゲームだったのだ。

 

そうはいっても次第に対戦というものが加熱してきて、ガチのゲーム大会なんかが開かれるようになってくると、同キャラ戦が出来ないのは公平さにおいてどうなのと思ったものだ。史上初のスト2全国大会では、決勝でどちらもガイル使いの対決になって、日本一になった勝負の決め手がジャンケンだったというはあまりにあまりな話。初代らしくて面白いのだけれども。

gameganba.com

そういう意味では、後に出たSFC版のスト2は、当時ゲーセンで出たばかりのダッシュの要素である同キャラ対戦をサポートしており、ずいぶんとフェアな感じにはなっていた。もしかしたらダッシュみたいに四天王も使えるんじゃないかと期待されたが、さすがにそれは無かった。

 

そんな背景があって、同キャラ対戦や四天王も使えるという、正当なパワーアップを果たした、運命のスト2ダッシュが発売されたわけだから、盛り上がるなという方が無理のある話だった。そんなこんながあって日本のゲーム業界は史上空前の格闘ゲームブームを迎えることになる。

butao.hatenadiary.com

 

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