温玉ブログ

ブログで儲けるヒントは絶対に教えません。


スポンサードリンク

梅田のお初天神のところに炭火焼き鳥の元祖の店があった現実

f:id:butao:20180919152336j:plain

大阪の梅田から近いお初天神露天神社)の裏手には、昔からの路地があって、今はけっこう再開発なんかもされてしまったけれど、それでもまあまあ残っていて、人気神社の裏手という立地を活かして様々な水商売が展開されている。

 

ごちゃごちゃした路地に詰め込まれて味がしみるくらい煮込まれたおでんみたいになったお店たちは、どれもこれも歴史がありそうな佇まいで、スナックとかおでん屋とかバーみたいなカウンターだけのお店が多い雰囲気。そんな雰囲気がするだけで実際はどうなっているのかは知らない。いい歳してこのあたりの飲み屋に入った事は一度も無かった。

 

店の外にメニューを掲示しているような甘っちょろさなんてないし、勝手な決めつけではあるが、店の中にだってメニューなんてなくて、店の人の気分で値段とられそうな怖さがある。「梅田の有名神社の境内裏で昔からやってる」という状況が、そんなプレッシャーを与えてくるのだ。そうでなければ、ごちゃごちゃした怪しい路地の飲み屋とかは結構好物なのだが、なまじ梅田に染まっているだけに、「どうせ安くないやろな」などと先入観で頭でっかちになる。北新地によりつかないのと同じ。

 

そんな中、ふとしたことで、このごちゃごちゃした路地裏に「最古の焼き鳥屋」と言われる店があると教えられた。ずっと大阪にいたのに全く知らなかった。さすが勝手に敷居を高くして、避け続けていただけある。

 

f:id:butao:20180919153623j:plain

これがそうだ。八栄亭。完全に古い。たしかに炭火焼肉の元祖を名乗っている。最古の焼き鳥屋という看板に説得力しかない。(よくわからんが、おそらく大阪で、ということだと思う。なんでも明治時代からとか)

 

やはり「高そう…」という思いしかないが、ちらっと飲み食いするぶんにはそんなバカみたいなことになるまいと、意を決して中に入ってみた。

 

f:id:butao:20180919153852j:plain

店内も木造りでとても古い。煙がもうもうとなっていてよくわからない。「カウンターだけの店が多そう」というイメージは裏切られて、けっこう奥が深くてテーブル席なんかもあった。ただし多くのサラリーマンがすでに出来上がっていたので、一人で入った僕は手前のカウンターに座る。

 

店内で焼き鳥を焼いてるのは年季の入ったおばあちゃんだ。そしておばさんがそれをサポートしているようだった。ちらっと店内を見渡したところメニュー的なものは何もない。

 

どっちかが口を開く。

「あんま(焼き鳥が)残ってないけど良い!?」

「はい…」

 

とくにコレというあてがあって入ったわけではないので構わない。だいいちメニューが無いので、もともとどんな焼き鳥があるのかも知らんし。適当にあるやつを1串2串貰えれば十分だ。あんまり高くならんだろう。

 

おばあちゃんが聞く。

「なに飲む!?」

「ビールで」

キリンかアサヒかエビスかハートランドどれにする!?と聞いてきたようだけど、最後のハートランドのところが「ハ@ラン!?」みたいな短縮形で聞き取りにくかったので、なんか「サッポロ」と言ってるのかと思った。エビスもサッポロやけど、それとは別に黒ラベルかなんかあるのかなと。それでサッポロと答えたら「ハァ!?」って言われてしまう。

 

何度もそんなやり取りがあって、ようやくサッポロじゃなくてハートランドと言ってるのがわかる。この一見客丸出しの態度を高みからちょっと小馬鹿にされた被害妄想を感じる。これだから老舗の人気店は…などと暗い気持ちになりつつ、気を取り直してエビスをもらう。

 

f:id:butao:20180919163939j:plain

そしたらエビスの中瓶と、かなり適当な感じのグラスが運ばれてきた。ロックグラスみたいな大雑把なやつ。昭和的な雰囲気やな~とビールを注いで飲んでみると、これまた生ぬるくて昭和感満点だった。ぬるいビールはちっとも嬉しくないが、なにぶん店がこんなだし雰囲気にはあっているので文句もない。

 

で、肝心の焼き鳥だけど、どうもおばあちゃんが適当に焼き始めているようだった。やっぱり危惧していた通りメニューとかチマチマしたものは存在しないうえに、注文もおまかせ一択で適当に出されるものを、客はただ運命として受け入れるしかないという老舗システムのようだった。まさにここらへんの路地のイメージそのまま。

 

f:id:butao:20180919163748j:plain

普通は今どき見かけない鉄瓶なんかが置かれていたりして雰囲気は抜群。そんななかで何かわからんものをモクモクと焼かれていく。何を何本食わされるのだろうかと考えつつ生ぬるいエビスをちびりちびりやる醍醐味も老舗ならではだろう。

 

f:id:butao:20180919164021j:plain

f:id:butao:20180919164034j:plain

f:id:butao:20180919164046j:plain

それぞれ出されたもの。何だったかなーくらいのもんで、いちいちあまり記憶に残ってないが、首とかそういうのだったかな。真ん中のは手羽元だろう。たぶん。おそらく。見た目的に。

 

味としては老舗の伝統のタレはたしかに美味かった。なかなかない深いタレ。甘すぎず辛すぎずというやつだ。そしてどれもふんわりと柔らかく焼いていて、とても優しい焼きとりだ。食えといわれればいくらでもいけそうだが、この日はこの4本きりで打ち止めみたいだった。中瓶ひとつでつまむにはこんなもので良い。

 

ちなみにビールを頼む際に、ちょっと高みに立たれたような気がしたのは杞憂で、とても愛想よく焼き鳥を出してくれたので、居心地としては悪くなかった。そうでなくとも雰囲気は抜群だし。

 

さて、わりとあっという間だったけれど、ひとしきり元祖店の雰囲気を味わったので、今日はこんなもんで良いかとお勘定を頼んだから、超反応でちょうど2000円と言われた。

 

で、出た~、この大雑把な会計!やはりこれも思ってた通り!

 

ほななにか?これ、1串300円くらいとかいう計算なのか?とかいちいち考えちゃうが、このような老舗ではあまり考え過ぎないようにするほうが健全だと思う。2000円で楽しめて良かったやん、みたいな。たぶん、通ってれば、今日は安いな~って日もあるんだろう。そんなもんだきっと。

 

まあ、とりあえず、とって喰われるような店ではないのは間違いない。庶民的ではある。明治から営業してるとかって店はそうそう無いので観光的にもオススメかもしれない。

スポンサードリンク