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年末なので近年でかなりの知見を得れたオススメ本とかをまとめておく

晦日で2018年の最終日ですので、ここのところの人生が変わるくらいの知見を得たポイントと、それの元になった有用な本をまとめておく。一年以内の話にしようと思うが、2017年に読んだやつも多少は混じっているかもしれない。

 

 

暴力の人類史 上

暴力の人類史 上

 

まずはなんといっても人類の歴史に対する理解が大幅に変わったことが大きい。スティーブン・ピンカーの『暴力の人類史』が巨大なきっかけになっているのは間違いないのだけど、ジャレド・ダイアモンドの『銃・病原菌・鉄』も今年になって読んだと記憶している。そんで『昨日までの世界』も続けて読んで、そうなったらビル・ゲイツの強烈な推しであるユヴァル・ノア・ハラリ『サピエンス全史』も読むわけだ。ちなみに『暴力の人類史』もビル・ゲイツ推薦本。

 

これら本から得れた知見は、ものすごく単純に言えば「現代になればなるほど人類社会からは暴力が減っている」という歴史的な認識だ。ジャレド・ダイアモンドの本も、ユヴァル・ノア・ハラリの本も、大まかに言えば壮大な歴史の話であって、有史以前の人類はどういう生き方をしてきたか、そしてどういう手順で進化してきたのかを整理・考察していくという内容なのだが、これを『暴力の人類史』を前提にして読むと捗る捗る。もちろん逆に読んでも良いとは思う。『昨日までの世界』は、現代でも古代と近い生活習慣を続けている少数民族をモデルに、古代の人類の生活様式を探っていこうという内容なので、『暴力の人類史』で主張している事柄をほぼ裏付ける内容になっていたりする。これも相互に補完していて捗り方が半端ない。

 

なんだか今まで不確かなイメージだけで「昔になればなるほど、棍棒で殴り合うくらいしか出来なかっただろうし、人間なんて森で平和に暮らしてたんだろうなあ?」などとぼんやりと考えていたことが、2割も正解じゃなかったことがわかった。人間は昔にいけばいくほど殺しに躊躇なかったし、暴力のみが支配する世界だったことが強烈にわかる。そしてそういう時代がたいして代わり映えせずに何千年も続いてきたのだった。ここ100年くらいで急激に人類は前進し始めたのだ。そういうことがわかる。

 

歴史好きは読んでおいて間違いない。歴史に対する理解度が100倍くらいになる。

 

文庫 銃・病原菌・鉄 (上) 1万3000年にわたる人類史の謎 (草思社文庫)
 
サピエンス全史(上)文明の構造と人類の幸福

サピエンス全史(上)文明の構造と人類の幸福

 

 

 

フェルマーの最終定理』で有名なサイモン・シンによる『代替医療のトリック』も強烈な一冊だった。なんせ長年にわたってずっと僕の疑問だった「なんで針を体に刺したら病気が治ったりするの?なんで足の裏をもんだら内蔵がよくなったりするの?なんで首を曲げてポキポキとやったら身体に効くの?誰も納得のいく説明してくれないし、全く意味がわからん」という問題について、本一冊でこれ以上ないくらいに明快な答えをくらたからだ。

代替医療解剖 (新潮文庫)

代替医療解剖 (新潮文庫)

 

 

 

「ぜんぶ嘘!ランダム化比較試験の確立によってそれら代替医療は効果なしと証明されている!だいたいの療法は、どっかのおっさんの思いつきが、さしたる検証も経ずに人気で広まっただけ!」

 

鍼灸も、カイロプラクティックも、足裏反射区も、気持ちいいくらいに根拠の無い健康法だった。同時にプラセボ効果の恐ろしさも説明してくれる。おかげでこれからしょうもない療法で頭を悩ませなくて済みそうだ。そしてランダム化比較試験の偉大さを知るとともに、統計学的アプローチや比較試験の導入で医学がみるみると進歩していったのは、ほんの100年くらいの話だという知見を得られた。それまでの人類は医学の分野においても、たいした進歩はみられず同じようなところを堂々めぐりしていたようなものだったらしい。さっきの歴史の話とかぶっているのだ!

 

 

知ってるつもり――無知の科学

知ってるつもり――無知の科学

 

『知ってるつもり 無知の科学』は集合知についての知見を与えてくれた。人間は社会的に知られていることは「知っている」として活動する生き物らしい。基本的には外部からつっつかれるまで何の疑問も持たずに生きていってしまう。だからこうやって本を読んだりして「知らなかったこと」を探していくしかない。

 

 

シャーデンフロイデ: 人の不幸を喜ぶ私たちの闇

シャーデンフロイデ: 人の不幸を喜ぶ私たちの闇

 

シャーデンフロイデ:他人の不幸を喜ぶ私たちの闇』は、我々が他人の幸福に不安を覚えて、他人の不幸に快感を覚えるのは何故かということについての学説。これも社会的な生き物だからという解釈で非常に納得させられる。人間はあんがい自分で感情をコントロール出来ない。そういう事を承知しているかどうかでもずいぶんと変わってくるはずだ。

 

 

失敗の科学 失敗から学習する組織、学習できない組織

失敗の科学 失敗から学習する組織、学習できない組織

 

『失敗の科学 失敗から学習する組織、学習できない組織』失敗を認めないことには失敗を防ぐ事は出来ないというごく当たり前の理屈なのだけど、どうにも人間は失敗を認識できない生き物のようだ。だから比較検証や統計学的アプローチが導入される前は、ほとんど同じ場所にとどまり続けたという歴史の敬意と合致する。人類は様々なテストや統計を通して、近代に入ってからようやく失敗を認識出来るようになったという言い方も可能だ。

 

世界を変えた14の密約

世界を変えた14の密約

 

『世界を変えた14の密約』は陰謀論的なタイトルではあるが、実は世界的に起きている事象のまとめのような本。ざっと読んでいけば次の興味へのインデックスにもなるし、ドメスティックな視点に陥りがちな日本人にとって、世界的な潮流の中での日本の立ち位置を確認するのにも役に立つ。とにかく疑問に思ったらさらに深く調べていけば良い。なんだかんだで、日本独自の問題というのは、それほどは多くないのだという事をわからされる一冊でもある。

 

 

誰もが嘘をついている ビッグデータ分析が暴く人間のヤバい本性

誰もが嘘をついている ビッグデータ分析が暴く人間のヤバい本性

 

『誰もが嘘をついている ビッグデータ分析が暴く人間のヤバい本性』Googleの検索ワードやインターネットなどのビッグデータというのは新しい時代の統計でもある。ぼんやりした思い込みやイメージを、統計的なデータで打ち砕いてくれる内容になっている。まだまだ発展途上の分析ではあるけれど、思い込みによるイメージよりははっきりとした足がかりを与えてくれるし、なかなか衝撃的な調査結果があったりする。とにかく「知ってるつもり」は危険だということを強く認識させてくれた。

 

 

ある世捨て人の物語: 誰にも知られず森で27年間暮らした男

ある世捨て人の物語: 誰にも知られず森で27年間暮らした男

 

『ある世捨て人の物語』『ヒルビリー・エレジー』は、絶対に本にならなかったであろう層の人たちについての物語。前者は一生世間から隠れて暮らしていたはずの人にインタビューを敢行するという発見の話だし、後者は普通は発言しない元白人貧困層が、自らの体験と家族の歴史を本として綴っていったという貴重な史料だ。

 

ヒルビリー・エレジー アメリカの繁栄から取り残された白人たち

ヒルビリー・エレジー アメリカの繁栄から取り残された白人たち

 

ヒルビリー・エレジー』に出てくる現代の白人貧困層の感覚と言動が『暴力の人類史』や『昨日までの世界』の内容とかぶるし、さらに白人貧困層がなぜそういう文化や生活様式を構築していくかは、居住地域や資源や経済の推移の都合という運の要素が強大であって、決して人間の内容が違うという事ではないという点において、タイムスパンは短いながらも『銃・病原菌・鉄』で述べられていることとあまり変わらない。

 

 

いつも「時間がない」あなたに: 欠乏の行動経済学 (ハヤカワ・ノンフィクション文庫)

いつも「時間がない」あなたに: 欠乏の行動経済学 (ハヤカワ・ノンフィクション文庫)

 

『いつも「時間がない」あなたに:欠乏の行動経済学』これは今年最大の衝撃といって良いかもしれない。貧困層が搾取されているのは、お金や教育だけではなくて思考力もだった!という観点からの分析が述べられている。失敗を繰り返すのも、教育を受け入れられないのも、社会的な欠乏の境遇によって、脳のリソースを著しく奪われているからだとしたらどうだろうか。自己責任論を振りかざしていても、一向に埒があかないはずだ。そして資産のある人間にとっての小さな失敗は、お金に余裕のない人間にとってはありとあらゆる転落への片道切符だというどうしようもない客観的な現実があった。貧富が別れるのは人間のそもそもの能力の差ではなく、欠乏の境遇が人間の能力を決めるという恐怖。貧乏が貧乏を呼ぶとは、すなわち欠乏が欠乏を呼び込む事にほかならなかった。『シャーデンフロイデ:他人の不幸を喜ぶ私たちの闇』や『失敗の科学 失敗から学習する組織、学習できない組織』で例に挙げられている内容は、この本の中で提唱されている「集中ボーナス」「トンネリング」という心理状況から説明出来てしまう。目からうろこの本なので絶対にオススメしたい。ラジオでも紹介したがまた詳しく解説したい。

 

とりあえず木村ゆうさんもラジオの内容の感想を書いてくれている。

kimniy8.hatenablog.com

 

他にもいろいろあったとは思うけれど、とりあえず強烈に印象に残ったものを大雑把にまとめておいた。ほとんど翻訳ものが中心だけど、紹介しきれなかったものや国内のは次の機会にでもぼちぼち。

 

ひとつだけ挙げると、わりと古いものだけど『ドキュメント道迷い遭難』のシリーズや八甲田山の本は強烈だった。2018年になって「山で迷ったら絶対に沢に降りないこと!」という知見を得た。基本的に僕は山には登らないのだけど。

ドキュメント 道迷い遭難 (ヤマケイ文庫)

ドキュメント 道迷い遭難 (ヤマケイ文庫)

 
八甲田山 消された真実

八甲田山 消された真実

 

 

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