米子駅からは少し遠いというかかなり遠い。富士見町駅からなら十分に歩けると思う。そういう場所にある回転焼き屋が白寿庵だ。この薄い建物がそう。
ここは米子の中でもかなりのスポットとして知られるスーパーおじいちゃんの店だったりする。なんと当時81歳でオープン。回転焼きだけではなく、店の内装から店内にあるものはテーブルから椅子からスプーンまでたいてい手作り。書や彫刻や絵画もこなし、店内の2F部分はまるまるギャラリー。
なんだそれは!?と思うが、実際に行ってみて驚いた。店の細さもすごいが、店の前はバス停になっていて、バスを待つお年寄りのためのベンチまで備えられていて、お年寄りが完全に店と一体化していた。
スーパーおじいちゃんが焼く回転焼きとは?
何をかくそう僕は回転焼きとそれに似たお菓子(つまり、御座候、今川焼き、大判焼き、蜂来饅頭、七越焼き、などごくだ)にす興味がある。米子でオリジナリティあふれる回転焼きが誕生したと聞けば気になってしょうがないのだ。だもんで、いつもの鳥取のB氏に車で連れてきて貰ったのだ。
店内に入るとスーパーおじいちゃんがキビキビと働いておられた。このエプロンや帽子も自作というからそのこだわりに驚くやら呆れるやら。店内のイチイチのものが木で制作されていて、調度品なんかに疎い僕でも、わきあがるクラフト魂を肌で感じるしかない。
これが、おじいちゃんこだわりの回転焼きの鉄板らしい。僕が大阪でよく見るようなものと比べるとかなり小ぶり。今まで食べてきた回転焼きに似たお菓子(御座候、今川焼き、大判焼き、蜂来饅頭、七越焼き、など)でも、このサイズのものはあまり記憶に残ってない。
しかも生地がこんなに膨らむタイプってそうそう無いような。サイズ感ゆえか。それとも生地がかなり特殊なのか。
300円しないコーヒーとのセットを注文しただけなのでお茶までくれた。こだわりのお店だからお茶も相当にこだわっているはずであって実際なかなか美味い。
300円しない回転焼きとアイスコーヒーのセット。お茶菓子状態の回転焼き。こんな上品な扱いをうけた回転焼きがかつてあっただろうか。もしかしたら、回転焼きにわびさびだとかもてなしの心だとかを持ち込んだ初めての人!?葉っぱ状の器すら「自分で焼きました」とか言われそうで怖いものを感じる。
薄皮で味もなんというか非常に上品だった。コーヒーも美味い。あっさり!それ以上の感想はあまり無い。でっかくて、アンコたっぷりで、紙袋から掴みだしてむしゃむしゃ貪るような駄菓子・ジャンクフードなイメージでは作られて無いのだろう。お茶請けとして、このサイズが最適という結論に違いない。お子様や女性も食べやすそう。
良くも悪くもこういう思想の回転焼きって他にあるのだろうか。スーパーおじいちゃんがいるうちに米子に来て食べるしかない気がする。それにしたってコーヒーまでついて300円切っている福祉価格には恐れ入るしか無い。
現在のところ「米子回転焼き」というものがあるとすれば白寿庵の回転焼きなのは間違いない。関西でよく食べられている回転焼きとは明らかに違う。おわかりの通り、待ったなしの店なので、米子旅行を検討されている方は、コースに組み込むことを検討されたい。
それにしたって、地元民の方々はどう思ってらっしゃるのか。持ち帰りだと少し安いみたいだ。
店名になっている白寿といえば99歳。99歳までやるぞ!という意気込みが込められたネーミングに違いないと推測する。ぜひやっていただきたいものだ。
店内の工房っぷりも凄かった。無限に何かを作ってそう。
オープン時の記事はこちら。