ものすごく意味のわからん現象なのだが、日本では体制批判すると「大人じゃない奴」「頭のよくない奴」「落伍者」「運動家」とか言われてバカにされたりする。
だから大本営発表にいつだって抗えないし、自民党は勝ち続けるし、社会はちっとも良い方向に進まない。それどころか戦前のような空気になる一方だ。
だいたい原発が爆発して放射能垂れ流しになっても、まだ原発を動かすといってるのだから信じがたいアホである。でも原発という言葉を使うだけで「その手の活動家」かという色眼鏡で見られる。身近なところでも、こういった話題はなかなか切り出せない。
そして貧乏人が増えてみんな生活に苦しんでいるところに増税や電気代の上乗せという追い打ち。それでも反対できない。どんな戦時体制なのかと思っていたら、御存知のとおり今度は中東の戦争に首を突っ込みだしているのである。
それでも批判できないのが日本。政府の決めたことに逆らうのは「大人じゃない」から。ニッポンにおいてオトナであることはドレイということなのか。
マスメディアに広がる政権批判「自粛」の空気に抵抗する~言論人たちが声明(全文)|弁護士ドットコムニュース
さすがに不味いだろうということで文化人が声明を発表したりしたが、これが功を奏すとはとても思えない。なぜなら文化人の声明というニュースを扱うのだってマスコミだからだ。マスコミが後押ししてくれないとどうにもならんだろう。
ネット社会だといっても、多くの人はやはりテレビや新聞を読んでいる。ネットでも、やっぱりテレビ局のサイトや新聞社のサイトのソースを重要視している。
それ以外の報道が社会を動かしたことはほとんどないのではないか。大手テレビ局や大手新聞社のサイトに乗ってないニュースを信じるだろうか。
せいぜい騒ぐのは2ちゃんねるまとめサイトとか、SNSの片隅だけじゃないだろうか。
これが、たとえばBBCとかCNNとかニューヨーク・タイムズの報道であっても同じだ。それを日本の大手マスコミが扱わない限り、一部の人らの話題で終わってしまう。
たとえそんなニュースを見て、かりにデモ運動などをしたとして、日本の大手のマスコミは封殺してしまうだろう。すると社会ではそんな事実は無かったのと同じになる。
恐ろしいことだ。
日刊ゲンダイ|政府広報予算83億円に メディアが食らう“毒まんじゅう”
このニュースを読んで欲しい。
政府が力を入れているのはプロパガンダである。国民の生活が苦しくなっても広告予算だけはガンガンあがっていく。
広告収入に苦しむマスメディアなんか政府の言いなりになるということだ。
テレビで原発が批判されないのも同じ理由だったではないか。
経済が傾いて苦しくなればなるほどマスメディアは政府の言いなりになるシステム。はっきりいって王手。チェックメイト。手詰まり投了という他はない。
じゃあ我々はどうすべきかというと、見守るしかないのだ。だって今さら自民党に票を入れるなといったって、このシステムがある以上はどうにも出来ない。日本人がテレビや新聞から逃げられないならば、なんどやっても自民党が勝ち続ける。
宮崎駿に続き高畑勲も安倍首相を批判!「『火垂るの墓』では戦争を止められない」|LITERA/リテラ 本と雑誌の知を再発見
アニメ映画の高畑勲監督が的確な指摘をしている。
『火垂るの墓』では戦争は止められない。
そらそうだ。反戦映画なるものは無数に作られたが、ひとつとして戦争を阻止出来たものなんか無い。反戦のメッセージを込められた無数の創作物がかつてあった。小説、絵画、詩、マンガ、音楽……。でも無力だった。
「こんどの戦争は前のとは違う」
これなのだ。これこれ。人間は何千年もコレを言い続けてきた。最強の呪文だ。「あらゆる反戦メッセージを打ち消す」という超絶魔法。これを突破出来た反戦メッセージを未だに人類は発明出来ていない。
ついでに「こんどの原発は前とは違う」「次は安全性が高い」なんてのもある。これもなかなか強力。
「国を批判する前に外敵と戦いましょう」
ゲーリングに指摘されるまでもなく、権力者が自分に不満をもつ国民をコントロールする時にさんざん使われてきた呪文である。これがまた効く。
嘘だと思ったら歴史書のなんでもよいから読んでみるといい。いつだって出てくるから。
歴史の本には何度も何度も悪い権力者が出てきて国を滅ぼすのだけど、必ず高い税金で国民を苦しめる。高い税金で国民を苦しめる支配者にろくなもんはおらんと何千年も前の中国の本にすら書いてあることなのだが、現代の日本人はちっとも学んでないから始末におえない。
たとえばそれが軽い読み物の『三国演義』なんかでも良いと思うのだけど、そういうところからでも学ぼうと思えば学べるはずなんだが「あれはしょせんお話だから」とか言ってしまう。
やはり創作物に戦争を止めたり悪い政治をやめさせる力は無いようだ。