ギガマックことギガビッグマックが調子が良いみたいである。けっこうな人がギガマックを食べたんではないか。
僕も前回はこのようなギガマック体験記を書いたくらいだ。そしたらまわりでも、久しぶりにマクドナルドでけっこうな金額を払ったという話が出てくる。やっぱりみんな気になっていたようである。プロモーションとしては成功だったのだろう。
その結果出てくるのは、新メニューが「美味かったよ派」「不味かったよ派」だ。そりゃまーそうなんだろうけど、こういうプロモーションでマクドに足を運ぶ人というのは、もともとマクドナルドの味が好きな層には違いない。何かの事情で何年もマクドナルドから離れていたとしても、「新しいの出たのなら久しぶりに行ってやろうかな?」と思ったような人間だ。だから「不味かったよ派」を、正確に表現するなら「期待したマクドナルドの味になっていたとは思えない派」とも呼べるかもしれない。
だから「だいたいマクドナルドのハンバーガーなんて人の食べるもんじゃ無いんだよねー」とか、ことある事に言ってくるような人間は、この場合はお呼びではないわけだ。それだけはキッチリしておきたい。
ギガビッグマックの件だけど、周囲の否定的な意見の聞き取り調査をしていくと、おおよそ2つの理由によるダメ出しに大別される。あるいは両方の意見をもった人も多い。
「740円は高い!高すぎる!」
「グチャグチャで美味しくなかった」
僕なんかは味には文句が無かったが「740円が高すぎる」という派だった。厳粛な気持ちで試食した結果の感想としては、740円も出すようなハンバーガーにはとうてい思えなかった。
これに対して「グチャグチャで美味しく無かった」というのはどういう理由によるのかと調査をしていくと、バンズがソースでぐちゃぐちゃになっていて、非常に不味い状態になっていたというものだった。ハンバーガーというのは、というかサンドイッチ全般に言えるのだけど、パンの部分はカラッとしてる方が美味しい。ここが水分に侵食されすぎると、サンドイッチちゅうものは、美味しくいただけないことが多い。
僕が食べたギガビッグマックは、ソースもレタスも適量に入っており、バンズが侵食されるなんてことは無かった。これがゆえに、僕は「大きいビッグマック」あるいは「大きいメガマック」として清く正しく味わうことが出来たのかもしれない。それに対して「グチャグチャでひどかった」という感想をもった人は「ビッグマック+グチャグチャ」なバーガーを食べたことになる。
前回の記事で「マクドナルドのソースや野菜は無料で増量が出来る」と書いた。「グチャグチャで不味かった」という感想を述べた人が、もしソースや野菜を増量しておいて「グチャグチャだった」というなら無視するしかない。しかし、グチャグチャなバーガーが嫌いと言ってる人が、そんな注文していたら統合失調症みたいなもんなので、それはあり得ないと思う。
じゃあ考えられることは、美味しくなかったと評価されたギガビッグマックを提供した店舗の店員が適切なソース量を理解せずに、普通の注文したお客にも増量クラスのソースや野菜をブチ込んだということになる。
逆に、僕が食べた店舗、あるいは店員は、ギガビッグマックに適切なソース量をキチンと理解して、その通りに作ったわけだ。だからグチャグチャになってなかったし、味に関してはキチンとしていた。
マクドナルドに店ごとの味の違いがあるのか?
ある。これは声を大にして言いたいが、あるのである。というか、普通は、どんなチェーン店でも、店舗ごとに味というのは違うものなのだ。人間がやってることだから当然のことなんだけど、なぜかこの問題は人々の中から無視されやすい。
「チェーン店は同じ食材・同じマニュアルでやってるのだから、どこでも同じ味です!」これはあくまで店側のお題目に過ぎなくて、調理の上手い店員と下手な店員はどうしたって存在する。そしてセントラルキッチン方式による同じ食材というのだってあくまで理想に過ぎなくて、さまざまな都合により、材料の仕入先だって店ごとに違ってきたりする。
同じ看板を掲げていても、直営店とフランチャイズということでもかなりやり方は違う。フランチャイズによっては程度は自由裁量が認められている場合もあって、そうすると料理提供にもかなり独自解釈が入ってたりする。
だから、僕らがチェーン店の評価をする時は、あまり看板でひとくくりにはせず、餃子の王将天六店の味は……とか、天下一品寝屋川店は……とか、そういう厳密さで臨むようにしている。わかる人にはわかってもらえると思うけど、わからない人には「は?」という世界かもしれない。
そこでマクドナルドである。これだって他のチェーンに対して例外ではなく、あくまでマクドナルドも店単位で語られるべき存在だ。しかしこれまでマクドナルド〇〇店は良いというような話が、あまり聞こえてこなかったのは、良くも悪くも店ごとの味のブレを客に意識させないくらいの精度を長年にわたって保っていたからに他ならない。マクドナルドってのは、マズイときは全店にわたって不味かったし、美味い時はほぼ全店で美味かったのだ。そういう印象は確かにあった。
しかし、現時点では、先に述べたような「ギガ・マック問題」とも呼べるようなものが発生してしまっている。これはなぜなのか。
ひとつの記事がヒントを与えてくれた。
これによると、ある時点から、マクドナルドは直営比率を下げて、フランチャイズ比率が上がってるらしい。フランチャイズっていうのは、さきほども述べた通りチェーン形態の中でも、独自解釈が入りやすい営業形態である。ましてや、何十店舗も束ねているような力のあるフランチャイズが出てくると、本部に対して発言権をもったりすることもある。そうするとむしろ積極的にマニュアルを改変したりといった事さえ起きる。
そもそも、日本マクドナルド自体が、アメリカのマクドナルドに対して大幅な独自裁量を認められてる組織だということを思い出して欲しい。日本のマクドと、アメリカのマクドは、メニューが違うのだ。日本マクドナルド内のフランチャイズ店舗比率の増加によって同一クオリティの維持が難しくなっているという分析は、将来的に味やサービスのバラつきが今より激しくなるかもしれない可能性を示唆している。「どこのマクドナルドで食べるか?」が重要になってくる時代がくるかもしれない。
僕にとってはチェーン店の統一性というのはあまり興味がないので、どんどんやってくれと思ってる。不思議なもんで、店ごとにブレの激しいチェーンほど客を惹きつける場合もある。厳密にはチェーンではなく暖簾分けだけど、たとえばラーメン二郎とか。あれも店ごとにファンがついていて、自分の贔屓の店以外をものすごくこき下ろしてみたりとなかなか楽しい。
いずれマクドナルドでも、〇〇店オリジナルバーガーとか出てきたら面白いのではないか。(〇〇店オリジナルセットみたいなのは昔からけっこうあったけど)
「マクドナルド淀屋橋ネクスト1店のチーズバーガー……ありゃ良い味出してたぜ」
なんて話を出来るようになったら素敵ではないか。本部による支配体制の低下は、ただ単に不味いバーガー食わされるというマイナスだけではないと思うのだ。鉄壁のチェーン体制にカオスが生まれれば、出し抜こうとするフランチャイズだって登場する。イチ消費者としては、あらたなマクドナルドのあり方に期待せずにはいられない。
ちなみに、淀屋橋ネクスト1店のチーズバーガーが良い味出してたのというのは実話だ。ここが直営店なのかフランチャイズなのかは知らない。しかし個人的にここ十年でいちばん美味いチーズバーガーだったのは間違いない。閉店間際に注文した奇跡だろうか。
関係ないけど、生活圏内に、バーガーキングが欲しい。高いからそんなに食わないだろうけど。