デイリーヤマザキというコンビニをよく使う。セブンイレブン、ファミマ、LAWSONなんかには遅れをとっているが、腐っても全国チェーンのコンビニだからそれなりの知名度はあると思う。
なんでデイリーを使うかというと、デイリーは独自色として焼きたてパンのサービスを提供しているからだ。ヤマザキパンがやっているコンビニだからってパンの美味しさを売りにする。文句の付け所なく真っ当な取り組みだと思う。
デイリーの焼きたてパンがある店舗はデイリーホットという看板が出ている。デイリーホットを簡単に説明すると、街によくあるパン屋さんがコンビニの中にある感じだ。あと唐揚げ系の惣菜なんかも他所のコンビニより充実している。そこだけスーパーの揚げ物コーナーみたいになっていると考えてくれていい。
コンビニなんてものは、工場配送のパッケージングされたパンを買うところと考えているから、その店で焼いているパン屋的なパンが手軽に買えるのはちょっとした魅力だ。店舗にもよるけれど、深夜に近い時間帯でもパンが買えたりする。遅い時間にやっているパン屋さんというのも少ないので、そういった意味でも重宝するかもしれない。
デイリーホットのパンはさすがにパッケージングされたコンビニパンよりはるかに美味しい。いくらセブンイレブンの「金の〜」なんだのといったって、しょせんはメーカーが工場で作って配送してるやつにすぎないので、店でパンを焼いているデイリーヤマザキに勝てるわけがないのだ。
そりゃ焼いてるのはバイトのおばさんが中心で、専門技術をもった職人とかはいないけど、そのぶん高度に処理されたパンのネタが本部工場から送られてくるので、下手なパン屋さんに勝る味わいがあるともいえる。そのようなクオリティのパンを24時間体制で買える(夜中は焼いてなくて在庫限りだけど)デイリーヤマザキはたいしたものだ。
そのデイリーに、ちょっと前から新しいパン・シリーズが登場して、心あるデイリーファンのあいだで物議を醸している。
そのパンの名前はラップパンという。
この軽妙なポップにつられてついつい買いたくなってしまう…。ここに闇があった…。
ラップパンとは、宣伝ポップにYO-YO♪などとあるように、ラップをテーマにしたパン・シリーズだが、その本質はパンをぐるぐる巻きにしているサランラップにある。パッケージといえるのはそれだけで、ラップっでぐるぐる巻いている様から着想を得てラップパンというネーミングがなされたと推測される。
ラップでぐるぐる巻きにされたパンがどんなものか説明すると、丸いパンの真ん中にハンバーガー状に切れ込みを入れてコロッケなどをサンドしているものだ。メンチカツのやつと、グラタンコロッケの2種類がラインナップされている。後にダブルチーズダブルハンバーグのやつも加えられて3種類となった。これで値段は税込み120円。
適当な売店で売ってそうな素朴でクラシカルなこんなたわいもないパン・シリーズのどこに、デイリー・オタを悲観させる要素があるのか順を追って説明する。
まず、ラップパンの味だ。見た目通り実に素朴な感じで、適当な売店でパンを買ったらこんなもんだろという味わいだ。しかし待って欲しい。デイリーヤマザキの売りはデイリーホットであって、店で焼いた美味しいパンが食べられること。それらに比べれば、ラップパンの味だけおかしい。なんの変哲も無い「そこらの売店で買える適当な惣菜パン」でしか無いのだ。
なんでデイリーヤマザキまで足を運んで「そこらの売店で買える適当な惣菜パン」の類を買う必要があるのだろうか。わざわざお店のシステムで焼いてこの程度の味というのは不可解だ。しかしラップパン自体に答えがあった。ラップパンのぐるぐる巻きのラップには、成分表などのシールも貼り付けてある。それを読むと製造場所は高知市となっていた。つまりラップパンは高知県の工場で作られ、全国のデイリー店舗に配送されてきただけのパンだったことがわかる。「そこらの売店で買える適当な惣菜パン」と同じ類のものだったのだ!
たしかにデイリーヤマザキは、デイリーホットがある店もない店も、従来のコンビニにあるようなパッケージされたパン類も並行して販売している。いくら焼き立てパンを販売しているとはいえ、ヤマザキのパン類が買えないのは「ヤマザキのコンビニとしてどうなの?」という趣旨だろう。購入者に選択の余地があるのは良いことだ。焼いたパンより特定のヤマパン製品が買いたい人はそっちも選べるのだから。
それに対してラップパンはどうかというと、サランラップでぐるぐる巻きにされていて「いかにも店で作りました感」を前面に押し出していた。まさかパッケージのパンみたいに、工場配送の品とは思わないだろう。だって同じ店ではパンを焼いているコーナーがちゃんとあるのだし。しかも悪辣なことに、ラップパンは店で焼いたパンコーナーの近くに混ぜて置いてあったりしがちなのだ。客側が余計に勘違いする仕組みになっているわけである。
僕はスマートにブランドを浸透させ儲けるばっかりのセブンイレブンなんかよりデイリーが好きだ。しかし今回のラップパンに関してはデイリーは最低だ。それはデイリーにパンを買いに来たお客さんを舐めているからだ。焼き立てパンをバカにしている。だいいち、こんな騙し討ちをして、「デイリーホットとかいっても、他のコンビニで売ってるパンのクオリティとかわらんやん。ていうかそこらの売店で買えるような適当な味やん。大したことないね」とお客さんに思われてデイリー側に一体何の得があるのだろうか?
デイリーヤマザキは全国区ではあるが、セブンイレブンやファミマやローソンに比べれば、かなりマイナーなコンビニといえる。だからこそ、パン会社が経営するコンビニという売りを生かして、デイリーホットの焼きたてパンという戦略を打ち出したのではなかったのか。それをこんなズルをしてどうしたいのだろうか。こんなことばかりやっていたらデイリーヤマザキの信頼度は低下してしまう。いずれはゼロのコンビニになってしまうだろう。
「お店でパンを焼いたらものすごいコストがかかる。でも手作り風のパンを工場で大量に作って店舗まで配送すれば効率が良いんじゃないか!?俺って天才!?よし、全店でラップパンを売らせよう!!」
偉い人がこんなことを思いついたのかもしれない。はっきり言って大バカ者である。
これを読んでてまだピンとこない人は、近くのデイリーヤマザキでラップパンを買い求めて(新メニューのダブルハンバーグがおすすめ)、ぜひひとつ食べてみて欲しい。僕の言っている意味がすぐにわかると思う。デイリーヤマザキで必死にパンを焼いている従業員が可哀想になる品だ。くれぐれも言っておくが、ラップパンがそこらの売店かスーパーで売られているなら、値段的にもクオリティ的にもここまで文句は言わなかった。
ラップパンの裏切りとはつまり、デイリーホットのパンと混ぜて配置したりしてるのはどういうつもりなのかという事だ。デイリーヤマザキにはサンドイッチなどに貼られる「店内で作ってますシール」があるが、「店内で作ってません!」シールも作って貼るべきだろう。
ちなみにデイリーヤマザキのデイリーホットで作られているなかで最大のオススメはホットドッグだ。コンビニで売られている中で間違いなく最高に美味いホットドッグ。タコスミートドッグというのもあるけどこれはイマイチ。オリジナルのホットドッグに関しては、コンビニだけでなく、ファストフード全般を対象にしてもかなり上位である。焼き立ての時に当たると最高だ。レンジで温めなおすと店員によっては下手でふにゃふにゃになる時があるので注意。
そしてパッケージの方のパンにも、なぜかホットドッグが登場した。最高峰のホットドッグを提供しているデイリーなのに、こちらのヤマパン製のホットドッグは悲惨の一言。日本外食界すべてのホットドッグランキングを下から数えた方が早いくらいの味だったりする。なんでこんなのを出したのかわからない。ラップパンと違って店内で作ったなんて勘違いはまず起きないが、「デイリーのホットドッグは美味いよ?」なんて聞かされて、うる覚えで買ってしまう人がいたら間違いなくデイリーの株と、ホットドッグを奨めた人の株がストップ安になる。
サンドイッチ類もいうまでもなく「店内で作られています」シールが貼ってあるのを買うようにしたい。工場配送のサンドイッチは、ふつーーーのコンビニのサンドイッチの味だ。
とにかく、デイリーヤマザキには猛省を促したい。そしてデイリーホットを利用した事のない人は、近くのデイリーヤマザキをチェックしていただきたい。