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あのドキュメンタリーのまさかの続編『南京事件II~歴史修正を検証せよ~』!!

清水記者が取材したドキュメンタリー『南京事件II~歴史修正を検証せよ~』が放送されて反響を呼んでいた。

 

前作のドキュメンタリーは、南京事件がどういう経緯で発生した事件なのかを、裏付けをとりながら徹底的に検証するというものだった。

 

今回の視点は歴史修正という観点で語られる南京事件。番組の冒頭では、降参が決まった日本政府と軍が、重要書類を燃やし続けた事実を説明する。数日にわたって焼き続けたというから膨大な量だ。

終戦時の証拠隠滅

事件の概要についてはここに詳しい。自分たちの保身のために史料を燃やしたしまうというのは重大な歴史犯罪だ。南京事件の概況を教わらなかったのと同様に、日本軍と日本政府による証拠隠滅という事実も、思えば我々は歴史授業で教わらなかった。

 

それがゆえに「南京事件を証明する史料は日本側には残されていない」「中国側だけが勝手に言っているだけ」「従軍慰安婦もなかった」「公式文書なんか無い」「でっち上げ」などといった言説にさらされると「それもそうだな。怪しいかもな」などと簡単に騙されてしまう。

 

残ってないのは当たり前なのだ。燃やされたんだから。しかも何日もかけて燃やしたのだ。これは間違いの無い事実で、燃やした側も「不利になるのだから当たり前だろ」と平然と証言している。それでも、すべての証拠を消し去るのは不可能だった。市ヶ谷では燃え残った機密文書が掘り返され復元た。そしてある新聞社では、当時の南京の様子を取材したときの写真などが密かに保存されていた。ドキュメンタリーではその事実も丹念に追っかけていく。

 

新聞社に残されていた発禁処分になった写真の中には、まさに捕虜を銃剣で突き刺しているという生々しいものもあった。中国が用意した南京事件の一部とされる写真などは出処が不明なものが多いなどとよく言われる。しかし、日本側には、出処のたしかな写真が残されていたのだと知る。

 

また、前回と同様の、当時の兵士たちによる生の証言もとりあげている。虐殺の模様をCGで再現しているのだ。簡素なCGではあるが、実際にこのような手順で大量に人が殺されていったのだとイメージするには十分だ。複数の証言から、似たような事例が報告されているわけで、これをでっち上げとするのは不可能だろう。

 

とどめとして、現職議員である稲田朋美などをはじめとした面々が主張している「南京事件は、捕虜が暴動を起こしたので発砲しただけだ」とする説の根拠も、徹底的に調査して検証している。この説の根拠になっているのは、南京攻略に参加していた両角連隊長への戦後になってのインタビュー記事だった。両角連隊長の証言では、「上からは捕虜を殺せと命令されていたが、開放するつもりで川べりに連れて行った。しかし諸々のトラブルで暴動が起きたので発砲した」とあった。しかし他の証言ではそのような事実が一切確認されていない。そればかりか両角連隊長本人は現場にいなかったという証拠が見つかっている。戦後になって責任を逃れるためについたでまかせである可能性しかない。しかもそれにしたって「捕虜を殺せという命令があった」ところまでは認めてしまっているのだからどうしょうもない。

 

これだけ大勢の人が現場に立ち会って、大量の証拠の残っているはず大事件ですら、ちょっとすると「なかった」ことにされてしまう恐ろしさがある。人間の認識なんてのはきわめて頼りないもので吹けば飛んでしまう。証拠になる文書を処分したり改ざんするような行為を許してしまうと、事実というものがどこにあるのかという事になってしまう。1600年に関ヶ原の戦いがあって、1603年に徳川家康江戸幕府を開いた…なんて話だって、これ文章が残っているから言えるわけである。口伝えの話でしか残らなかったとしたらどうなのか考えてほしい。「むかしむかしあるところで桃太郎が鬼退治しました」みたいな、あやふやな物語が残るだけだ。

 

このドキュメンタリーを見れば、モリカケ問題をなぜしつこく追及しなければならないかがわかるかと思う。たかが文章の改ざんくらい目くじら立てなくても良いじゃないかなんていえなくなるはずだ。南京事件の問題と根っこは同じなのだ。公文書を改ざんしたり隠滅することの恐ろしさは歴史が教えてくれる。過ちは繰り返してはいけない。歴史を学ぶとはそういうことだ。

www.dailymotion.com

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南京攻略のあとにあった重慶爆撃についても、あまりにも無知なことが多い。『戦争のはじまり 重慶爆撃は何を招いたか』もあわせて見ておくことで、真珠湾攻撃から先の事件がなぜ起きたのか理解が深まる。重慶爆撃について詳しく習うことはなかった。戦争の話題でもほとんど取り上げないのではないか。

 

太平洋戦争における一方的な被害者意識というのは、南京事件重慶爆撃の経緯の説明があまりにも不足している。あえて重慶爆撃を話題にしないようにしているとすら思える。まあ、これにしたって、日本側の史料が燃やされているわけで、中国側の被害記録が頼りになっているというのだから情けない話である。重慶爆撃がわかると、諸外国からみた日本と、日本人による感覚の温度差に合点がいくようだ。なるほどそういう話だったのかと腑に落ちる。

 

南京事件にしたってそうだった。いきなり日本軍が乱暴狼藉を働いたという話でしか伝わってこなかったが、ちゃんと前後がわかれば誰だって納得もいく。学校でやらされる歴史授業なんてのは、大幅にピースの無いパズルみたいなものだった。そして、ながいあいだ抜け落ちていたピースのいくつかを、丹念な調査によって埋めてくれたNNNドキュメントの功績は大きい。記録を遺してくれた個人や新聞社などにも感謝するしかない。事実を隠蔽しようとした行為には怒りが湧いてくる。イデオロギーよりも何よりも重要なことは事実だ。だから政府による文書の改ざんや破棄の罪は重いんだ。

 

空爆の歴史―終わらない大量虐殺 (岩波新書)

空爆の歴史―終わらない大量虐殺 (岩波新書)

 

いかに重慶爆撃が「空爆の歴史」に不名誉すぎる大きな一歩を刻んでしまったかというのがよくわかる空爆の歴史の本。その負の遺産は、ドローンによる空爆までつながっていく。

 

「南京事件」を調査せよ (文春文庫)

「南京事件」を調査せよ (文春文庫)

 

清水記者によるドキュメンタリーの補足本。

 

butao.hatenadiary.com

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vergil.hateblo.jp

はてなでもとりあげているブログがあったので紹介。かなり詳しく紹介している。

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