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温玉ブログ

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居酒屋で生ビールを注文しない方が良いこれだけの理由

市民生活 考え方 豆知識

流川という街を御存知だろうか。広島のいちばんの歓楽街である。中国地方一の歓楽街なんて言われ方もする。JR広島駅から路面電車で数駅のところにある。

 

そんな流川の歓楽街からほど近いエリアに、さる立ち飲み屋がある。営業時間は17時~19時のたった2時間だけ。そして置いている酒は生ビールだけ。アサヒとかサッポロとか、銘柄もいろいろ変わるらしいのだけど、どれがあるにせよ、日替わりなので客には選択権は無い。その日はアサヒ樽生だった。

 

提供しているのは生ビールだけであってツマミは無し。しかしメニューは8種類あるそうだ。ひとつの銘柄しかなくて、それも生ビールしか出して無いのに、なんでメニューが8種類もあるかという話だ。実はその店にはタイプの違う生ビールサーバーが2種類備え付けてあって、それぞれに4種類ずつ注ぎ方があるので、計8種類がメニューということである。

 

注ぎ方が違うとそれはもう別のビールとしてカウントする。生ビールとはそういうモノだったのか。「生ビールには美味い注ぎ方がある」なんて話はよく聞くし、かくいう僕だって飲食店の経験はあるから、自分でも生ビールサーバーは少なからず扱ってきた。しかし注ぎ方のバリエーションという概念は無かった。

 

店に備え付けてある生ビールサーバーのうちの1台は、僕にもお馴染みにごく普通のタイプ。レバーを手前にひくとビールが粛々と注がれるが、後ろに倒せば泡だけを注いでくれる。

 

もう一つの生ビールサーバー。これが凄い。戦前のタイプライターみたいな無骨な骨董品。それをピカピカに磨いて使っているそうだ。注ぎ方もまた凄くて、レバーをひねると、ポンプから出てくる井戸水かなんかのようにビールが一直線に流れ落ちる。こいつは新型のサーバーのような手加減なんてものを知らない。ものすごくシンプルな仕組みになっている。パイプだってずっと太いのだそうだ。

 

ビールを注文すると、充分に氷水で冷やした薄手のグラスに、旧式のサーバーからどっとビールを落としこむ。あまりに勢いが良いから、泡なんかといっしょにビールもドバドバと景気よくグラスからあふれだす。こんなに豪快なビールの注ぎ方は見たことが無かったが、かつては当たり前の光景だったそうだ。それをちょうどよいタイミングでビールを止めると、いい感じの生ビールが出来上がっているわけである。

 

僕はぜひともそのサーバーで注がれた生ビールを飲んでみたくて注文した。店のおじさんは蝶ネクタイなんかして実にビシッとしたスタイルで注いでくれる。8人ほども入ればいっぱいの狭い店内だけど古いビアホールのような対応だ。

 

きっちり手入れされた昭和のサーバーを使って、グラスに豪快に注いでくれた生ビール。風呂あがりの牛乳みたいに飲んでくださいと言って渡してくれた。生ビールを牛乳みたいとはおかしなことを言うなと思っていたが口をつけてみたら合点がいった。するすると喉に入ってきて一気に飲み干しそうになる。

 

僕は信条として一気飲みは好まないので7割りのところで必死に止めたのだけど、簡単に一気飲みしちゃいそうな軽さ。グラスのサイズとしては普通サイズの缶ビールくらいはあるそうである。

 

昭和のサーバーは勢い良く飛び出すので、泡が豪快にあふれだす。それを利用して炭酸を薄めて軽さを演出するのがこの生ビールの注ぎ方のキモらしい。なるほど、炭酸が重いという発想があったのか。ビールの炭酸というものは、抜けなければ抜けないほど良いと思っていたのだけど、そうじゃない考え方もあるのだ。たしかにするすると飲めてしまう。

 

今度は、同じサーバーを使って、5分以上かけて三度にわたって注ぐという悠長なやり方をしてもらう。そうして飲んでみたビール。同じ銘柄なのにたしかに味が違う。炭酸のキリリとした食感が消え失せてどこかやぼったいくらいの舌触り。イギリスかどっかのエールビールでも飲んでいる気分になる。

 

注ぎ方のバリエーションとは、サーバーを使い分けて、泡と炭酸の比率の配分を変えることだった。これはもう好みがあるので何が正解とはいえない世界だ。そしてその比率を変えてしまうと、同じ銘柄のビールでもガラッと印象が変わってしまうのだ。

 

もちろん、その店では、グラスとビールの温度管理は万全だし、新しくグラスに注ぐ前には、管に入っている前の注ぎ残しは惜しげも無く捨ててしまう。いちいちそんなことをやっている店なんかほとんどない。そりゃもう、どんな泡の比率にしろ美味しいに違いない。8種類の注ぎ方すべて試してみなくともわかる。

 

というか、そもそも試せないのだけど。なぜならその店では、1日ビールは2杯まで、と決めれているのである。だから客は2杯をあっという間にたいらげて、千円(2杯分)置いてそそくさと帰ることになる。にわかに燃え上がった生ビール心をどうしてくれるんだと恨みながら。

 

店のおじさんは「本来、これくらい神経を使うのが、生ビールなんですよ」などと言い切る。その意見にはモノスゴク説得力があった。瓶ビールでも缶ビールでもなく、わざわざ店に足を運んで生ビールを飲む理由は「そっちのほうが美味いから」であって欲しい。

 

しかし……ありがちなアサヒの樽生を、こんなに感動的に飲ませてくれるお店が、身近に何軒あるというのだろう。記憶としてあんまり思い出せない。生ビールを飲んで得をしたと思ったことすらあまりないのだ。自分で生ビール注ぎ放題とかいう店は別にして。

 

蝶ネクタイのキリッとしたおじさんに、その古いタイプの生ビールサーバーは、どれくらい使われているのかと尋ねてみた。

 

「いくつか残っていますよ。東京の有名な○○という店にもありますし。他に例えば、行きやすいところでいえば、広島駅にもある銀座ライオンさんなんかでは今だに使っているらしいですね」

 

そりゃ、古いタイプのほうがかならずしも美味いというわけでも無かろうけど、そんなサーバーを直し直しで使っている店は、少なくとも生ビールをぞんざいに扱ったりはしないだろう。

 

まあ、そんなわけで、僕はふらっと居酒屋なんかにいっても、メニューにそれしか無かった場合を除いては、基本的には瓶ビールなのである。

 

butao.hatenadiary.com

 

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