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『ポルターガイスト』『スペースバンパイア』『スペースインベーダー』などのトビー・フーパー監督も亡くなってしまったがな!

ロメロ監督を追悼したばかりというのにトビー・フーパー監督まで亡くなってしまった!あのホラー映画隆盛期を体験した世代にとってこんなに寂しいこともなかなかない。

 

トビー・フーパー監督といえば真っ先に挙げられるのは、なんといっても『悪魔のいけにえ』だ。公開された年が1974年だから僕の生まれた年と同じだ。だからどうしたということもないし、僕が『悪魔のいけにえ』の生まれ変わりとかいう意味のわからない話をするわけでもない。いちおう日本公開は翌年の1975年らしい。もちろん物心つく前のことだから当時の様子など知る由もない。既に確固たるホラー映画の名作という確固たる評価が定まった後、VHSでこの映画を観て度肝を抜かれたのはよく覚えている。

 

それまでも『ハロウィン』(78)とか『13日の金曜日』(80)とか『バーニング』(81)みたいな暴力的な連続殺人鬼が出て来るホラー映画はたびたび観ていた子供だったので、『悪魔のいけにえ』も「まあ、その元祖的なポジションの映画でしょ。いちおう勉強(なんの!?)のために観ておくか」と高をくくっていたらとんでもなかった。

「どうせホラー映画」みたいな安心感は微塵もなくて、とてつもなくイケナイものを観てしまったかのような衝撃があった。こんな安心感の無い映画(スリルがあるという意味じゃない)は、それまでは観たことなかったから「これを作ったトビー・フーパーという人はキチガイなんじゃなかろうか?」とすら思ってしまった。かの手塚治虫は映画オタクでも有名だが、公開時にスクリーンで観て「『悪魔のいけにえ』はスカッとする」などと評価していて「この人の感性やっぱりすごい」と思ったものだ。

 

追悼も兼ねて『悪魔のいけにえ 公開40周年記念版』をAmazonプライムビデオで観るわけだが、40年以上経った今の時代に高画質で観てもぜんぜん現役で通用するキチガイっぷりだった。現代の映画といえばグロいシーンやエグい設定なんかてんこ盛りなんだけど、それに比べりゃ『悪魔のいけにえ』のショックシーンなんて大人しいものである。なのに尋常ならざるものがフィルムに写ってしまっているこの感じはなんだろう。登場人物にしてもストーリー展開にしても「映画の文脈」を軽く飛び越えている。それでいてめちゃめちゃにはなってなくて、その後に数多のフォロワーを生み出すホラー映画の文脈を作っている。だから奇跡の一本としか言いようがない。

 

実はトビー・フーパーは『ナイト・オブ・ザ・リビングデッド』に感銘を受けてこの映画を作ったそうだ。たしかにどこかしらドキュメントタッチな作風と、文脈を破壊しまくる「安心できない」物語展開は共通するものがある。それに加えて『悪魔のいけにえ』は『ナイト・オブ・ザ・リビングデッド』をも超える狂気があった。これはまさに狂気が焼き付いたフィルムだ。この2本の映画のフィルムが仲良くニューヨーク近代美術館に永久保存されているのは偶然ではない。ホラー映画では『ナイト・オブ・ザ・リビングデッド』と『悪魔のいけにえ』だけが選ばれているという話もあるが本当だろうか。どちらにせよ人類遺産なのは間違いがない。そんな偉大な二人の監督がたて続けて亡くなってしまったわけだが。

 

他にトビー・フーパー映画で好きなものを挙げろといえばもちろん『ポルターガイスト』だろう。日曜洋画劇場なんかで繰り返し放映していた印象がある。スティーブン・スピルバーグトビー・フーパーの才能に目をつけて制作したホラー映画だが、アメリカの幽霊屋敷ものホラー映画の中では段違いに面白かった。シリーズ化されたけれどトビー・フーパーがかかわったのは一作目だけ。日本ではスピルバーグ映画としてアピールされていたと思うけれど、間違いなくトビー・フーパーの代表作として数えられる作品だ。

 

『ファンハウス/惨劇の館』(81)『ポルターガイスト』(82)『スペース・バンパイア』(85)『悪魔のいけにえ2』(86)『スペースインベーダー』(86)など、80年代はトビー・フーパーが最ものりにのっていた時期といえる。『スペース・バンパイア』『スペースインベーダー』は、『エイリアン』や『バタリアンダン・オバノンと組んで作った映画で、これまたべらぼうに派手で面白いSFホラー映画だった。『スペースインベーダー』は『惑星アドベンチャー スペース・モンスター襲来!』(53)のリメイクだったが、断然リメイク版の方が面白い。『遊星よりの物体X』(51)と『遊星からの物体X』(82)の関係に似ている。とにかく80年代のトビー・フーパーは、狂気の映画を作った人とは思えないくらい抜群のエンターテイナー監督だった。ロメロ映画でおなじみの特殊メイクアーティストのトム・サヴィーニとも絡んでいるし。

 

そして90年代。『スポンティニアス・コンバッション/人体自然発火』(90)も面白かったけれど、それ以降はなんとなく地味になっていった。スティーブン・キングの原作を映画化した『マングラー』(95)も映画館まで観に行ったけれどパッとしなかった記憶がある。そしてそれ以降の作品は正直いってぜんぜん観ていなかった。『遺体安置室 死霊のめざめ』(05)は観たような気がするが…。

 

まあ、とにかく『悪魔のいけにえ』だけでも、音楽でいえばビートルズくらい偉い。これに影響を受けてしまった人間はいまでも数多くいる。観てない人は、この機会にでもトビー・フーパー監督の映画をぜひ体験して欲しい。ほんとびっくりする。何かインスパイアされてうっかりクリエイターになってしまうかもしれないくらいの威力がある。僕もチェックしていたなかった後期の作品を中心に見直してみたい。

 

↓今のところAmazonプライムビデオで観れる2作品!!

 

 

ポルターガイストにリメイク版があったのをご存知だろうか。もちろんトビー・フーパーは監督をしていないが。いつの間に…。

 

 

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 黄金期の作品たち!

 

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比較的に知名度が低い?なかなか観る機会のない?

 

 

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『スペース・インベーダー』のリメイク元。内容としてはなかなかに同じだから笑える。

 

 

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悪魔のいけにえ』のモチーフになったエド・ゲイン事件をわりと素直に映画の題材にしている作品。トム・サヴィーニのメイクアーティストとしてのデビュー作であるし、『悪魔のいけにえ』と同じ年にアメリカで公開されている。どっちがどっちの企画をパクったのかはよくわからない。ずっとフィルムが行方不明になっていて90年代になって日本で初公開されてソフト化もされたといういわくつき映画。『悪魔のいけにえ』理解のために観ておくのも悪くない。こちらもなかなか良くできている。

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