駅前には大関食堂という味のある食堂があった。ぜんぜん気がつかなかった。前に来たときも帝人通りの古い食堂に行った。三原駅周辺は古い食堂が案外残っているのかも。寄って行きたい気持ちもあったが、帰りの電車が遅くなりすぎるので断念した。大阪から広島までは在来線の日帰りだと遠い。
帝人通りは昔のメインストリート。その名の通り以前は帝人の工場があって賑やかだった頃もあるようだ。現在は帝人の工場も撤退しているので、駅正面のマリンロード商店街が完全にメインストリートになっている。三原に行った時はぜひ立ち寄ってもらいたいが、とくに何もないかもしれない。いくつかの居酒屋と、路地にスナックとかあるくらい?あと石のタコが道端にいくつもある。
僕はマリンロードのこの天ぷら屋さんが異常に気になっていたのだった。だから今回はこれだけは買ってかえろうと寄ってみた次第。一見するとなんてことのない天ぷら屋に見えるのだけど……
これ!このタコの足を丸ごと揚げた大柄な天ぷらに興味を惹かれたのだった。なんせお値段が650円!!!これがどれだけ異常かというと……
讃岐うどんなんかでよく見かける、イカのゲソ天ぷら。これが200円。これだってたいがい大柄なのに、それよりはるかにデカいのだった。前回はいろいろ回ってるうちに天ぷらとかどうでも良くなってスルーしてしまった。今回は三原に来た目的のひとつに決めていたので勇気を振り絞って650円を支払った。
店のおばちゃんにタコの味の天ぷらと言ったら包んでくれた。これ1日で何本ほど売れるのだろうか。14時まわったくらいのこの時点で10本くらい並んでるのだけど、近所の人は夕方くらいになると競ってタコ足を買って帰るのだろうか。ちょっと想像がつかない。
名物らしい。なんかテレビも取材に来たとかベタベタと貼られていた。
お正月あけて間もない寒空のマリンロード。いかにも寒々しい風景だ。いつか真剣に向かい合ってみたいロードでもあるけど。夜の風景はよく知らない。
買ったタコの足を開けてみる。中型雑種犬のしっぽくらいデカかった。さすが650円の貫禄である。揚げおきしてたものなので衣はもちろんフニャフニャ。おそらく何の工夫もなくタコの足が一本まるまる入ってる重量感。なんでこんなものを買ってしまったのかと思ってしまった。そっと閉じてリュックにしまう。
ドリンクコーナーのある三原駅ホーム。大阪までたっぷり4時間はかかる。着いたら真っ暗だろう。電車に乗るのは好きだが、夜になると途端にテンションが下がる。なんたってこんな遠くまで来てしまったのかと少し後悔する瞬間。
帰り道で、買っておいたサイコキラーおにぎりを広げる。しばらく置いてノリがしなしなになってるサイコキラーも美味い。実験的に買ったおかかおにぎりも悪くない。どうせならビールも買えば良かったと思った。朝から一滴も飲んでいない。三原からの電車は快適なくらい空いているのだ。しかも福山からは、相生まで乗り換えなしで行く電車に乗れる。岡山駅からの上り電車の席とりゲームは回避されるのだ。それだけは気が楽だった。