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宗教対立を煽りまくる「表現の自由」は金の奴隷でしかないのか

日本の拝金主義の原因は、宗教的教義の不在=思想や哲学やモラルの欠落によるものだというような記事を書いた。


日本人にも聖書やコーランに匹敵する経典があったことを知る - 温玉ブログ

 

えっ、これってそういう記事だったの?と驚く方も一部いるかもしれないが、要約すればそういう記事のつもりで書いた。いささか皮肉も込めて。

 

さて、戦後の日本の経済モデルは、アメリカのそれに色濃く影響を受けている。占領下にあった経緯もあるのでそうなるのが必然なのだけど。

アメリカは世界一の資本主義国家だ。つまり拝金主義においても、どうしようもなく世界一ともいえる。


アメリカの「スーパーリッチ」が世界の所得格差を拡大させる 0.1%の最富裕層が世界の富を独占

 

こんな記事でも読めばそれはもう一目瞭然だろう。

 

もともとプロテスタントの国として似たような教義のものと暮らしていた国が結果的に拝金主義に陥ったのは何でか。

ヘンリー・アダムスは1865年の南北戦争終結後から始まる「金ぴか時代」を「市場が宗教に取って代わった時代」と評したが、それから事態はより深刻化している。

人種のサラダボールともいわれる多民族国家化が最大の原因といえるかと思う。

アメリカ人の宗教観の変化-プロテスタント過半数割れ : ニューヨーク 現地情報

 

こういった記事を読めば事情も少し見えてくる。

 

プロテスタントの割合が確実に低下しており2012年に半数を切ってしまっている。

そして無宗教と回答している人間が増加している。

無宗教と答えた回答者の大半も本当の無宗教家ではないはずだ。

 

記事から引用してみよう。

しかし、新しい調査によれば、アメリカの4,600万人の宗教に属さないという成人の多くは、ある程度宗教的であるか、霊的であることも分かっている。 つまり、3分の2の人(68%)は神の存在を信じており、半数以上(58%)は、自然と大地との深い関わりをしばしば感じている。 さらに、宗教に所属しないとするアメリカ人の多くは、教会や他の宗教的機関は、共同体の絆を強め、貧しい人を援助することで、社会に貢献していると考えている。

根源的にモラルを共有していない共同体は、金銭などの目先の誘惑にかなり脆いのではないか。モラルによる裏付けのない法律などのルールは、所詮は社会生活を営むうえでの最低限のコンセンサスに過ぎないので、心のうちに明確な拠り所をもたぬ人々は、本音と建前とをますます乖離させていくことになる。

 

かつての旧日本兵は、組織としての枠組みにいるうちは世界でも有数の統制のとれた振る舞いをみせたが、いったん組織から切り離された環境におかれると、信じられないほどの蛮行に及んだという報告が数多くあるが、つまりはこういうことなんじゃないのか。右に倣えで従っているに過ぎない人間の行動規範など、何かの一蹴りで破壊されてしまう。

 

アメリカには長年の移民の歴史がある。キリスト教以外の様々な価値観も流入してきた結果、プロテスタント的な求心力と行動規範が失われていっているように見える。この流れは止められないだろう。止めるのも愚かだろうし。

 

僕は宗教はやっていない(本当にやっていない!死んだら死体はごみの日に出して欲しいくらいやっていない!)が信仰の自由を掲げる人間でもある。だから信仰の多様化は結構な事だと思う。ただし多様化した信仰と、社会運営のルールは、どう折り合いをつけるのかと考えると不安になる。

 

多様性の代償として、何かのタガが外れつつあるのも確かだ。

もしかしたら、そもそもそれだけの多様性を受け入れるような頑丈な器(ルール)が、人類の方には用意出来ていなかったのかもしれない。これからも用意できないのか。

 

多様性を許容できるような入れ物を探した結果、お金や権力という金ピカの器しか見つからなかったでは、あまりにも寂しすぎる。人類の文化の歴史とは何だったのかと思う。

 

ここまで語ってきたことはアメリカと日本の問題だけではなくて世界的な傾向だ。

 

今やどこの国でも移民問題に頭を悩ませている。そしてやはりモラルの共有が難しくなってきている。

 

中国なんかは元々が多民族で多宗教であったうえに共産党が宗教を否定しているので、必然的に昔からそうであったらしい。金と血筋しか信用できないと。しかも金はゴールドの方が人気らしい。紙幣は信用できないからと。共産主義なのに。

 

モラルなき苛烈な拝金主義は格差社会を助長し貧困を拡大させる。

 

「ほなら、敬虔な信徒だけ集めて純粋な宗教国家を作ろう!」

それも間違っている気がする。中世に逆行だ。

かつての権力者が宗教を利用して人類をまとめようとしてきたのも確かだが、今の時代にソレを繰り返すのも馬鹿げている。

 

じゃあどうすればよいのか。ガンダムみたいに人類の革新を待つのか。そんなものガンダムのアニメの中ですら成功していない。では『幼年期の終わり』みたいに宇宙人がやってきて強制的に進化させてくれるのを待つ?ばかばかしい。

 

幼年期の終わり (光文社古典新訳文庫)

幼年期の終わり (光文社古典新訳文庫)

 

 

なにひとつ考えが出てこない。

 

人類は平和的に共通の言語を確立できないのか。

残念ながら今はその兆候すら感じられない。

 


マンガを戦争の道具にするのは表現の自由なのか? - 温玉ブログ

 

先に書いた記事のような事件を思うと絶望しかない。もちろんフランスも移民が大きな問題になっている。従来までの価値観ではやっていけなくなりつつある国だ。

 

ちなみに現時点でフランスの反テロのデモは370万人という、フランス史上最大規模まで発展している。何がここまでの熱狂を呼ぶのかわからない。

テロで射殺された17人には気の毒な事ではあるが、今も世界のあちこちでは日常的に罪もない人が殺されている。そのことでいちいち何百万人も集まって騒いだという話は聞いたことがない。

 

表現の自由」をテロから守るという御題目がそれほど重要なのか。まったく理解を超えた現象だ。

絵を描く人間は描かない人間より偉いというのか。絵を描くぶん偉いとは言えるが、描かない人間だって、描く人間に出来ない事をしているかもしれない。麦を栽培するとか。工場でベアリングを製造するとか。

 

そして今まで世界は「表現の自由」を厳しく保護してきたのだろうか。

仮にイスラム反ユダヤ主義を表現していたアーティストがイスラエル軍に射殺されたとて、世界の誰にも知られることは無いのではないか。きっと地方版のニュースにすらならない。

たとえば、この記事なんかは、そうした世界に流れる「表現の自由」至上主義への不安に対してうまいことまとめてくれてるようだ。


フランスの新聞社襲撃事件から「表現の自由」の二面性を考える-サイード『イスラム報道』を読み返す(六辻彰二) - 個人 - Yahoo!ニュース

 

フランス政府に警告を受けつつも6万部を発行していたにすぎない風刺漫画雑誌の漫画家たちが射殺されたことで、各国首脳をはじめとした370万人もの人間が集まる意義は何だろうか。彼らが守ろうとしているものは何なのだろう。

この風刺漫画雑誌を批判するデモを、イスラム教団体が行った時、真剣に耳を傾けた人がどれくらいいたのだろうか。

こうなってくると、風刺漫画に価値があったというより、風刺漫画家たちが射殺されたことに価値があるように見えてしまう。マンガなんかに価値はないのだ。そらそうか。

そしてこの雑誌の最新号は300万部が発行されるそうだ。6万部の雑誌が何かのチカラでこんなことになったわけだ。ものすごいパワーになっている。恐ろしい。

 

 イスラム教徒を刺激しまくるマンガを描きまくって目立ってた人が、人の忠告も無視して描きまくった挙句、イスラム教徒だかよくわからないカルト教団だかよくない変態に目をつけられて殺されてしまった。

まったく無茶しやがって……。でも自分が信じた表現に殉じたから本望かもね……。

本来これくらいの反応でよかったんじゃないか。殺された方があたかも対イスラムレジスタンスの英雄みたいに祭り上げられる事を危惧している。さすがにそこまでブラックジョーク的展開は無いか。いやあるのか。世界は本当にわからない。

 

ヨーロッパが「表現の自由」を守るためのデモとやらで熱狂する数日前。BBCが日本のアニメやマンガのポルノ表現を批判する記事を掲載していたりしていた。

こういう記事を見て「たしかに日本のマンガ・ポルノはけしからん!こんなものは消すべきだ!」などと思った人が370万人の中にはいないのだろうかと考える。

BBC News - Why hasn't Japan banned child-porn comics?

 

日本のポルノまがいのアニメやマンガを扱う出版社に、謎のテロ組織が突入してきて編集者を射殺したらどうだろうか。日本の出版社には漫画家はあまり常駐していないから作家は難を逃れそうだ、くらいの感想しか持たないかもしれない。どこのヒマなテロ組織だろうか、くらいは考えるかも。いずれにせよ、あまり考えたくない事態ではあるが。ややこしいので。

 

 

 

これから世界がどこへ向かうかと予想すると、SF的なディストピアがついつい頭に浮かんで気分が暗くなってしまう。人間が空想することは必ず実現されると言ったのは誰だったか。

 

『動物農場』の段階はとうに過ぎ去ったように思う。

『1984』の世界が到来しないことを祈るしか無い。

動物農場―おとぎばなし (岩波文庫)

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一九八四年[新訳版] (ハヤカワepi文庫)

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