このチャンスに梅田の美舟という昭和なお好み焼き屋に行ってみた。このチャンスってどのチャンスなのかわからないけど、ずっと昔から東通りの商店街にあったお店で気にはなっていたが一度も入ったことはなかった老舗だ。いつでも行けるわと思うと一生行かない店ってあるけど、美舟はまさに自分の中でそんなお店の一つだった。梅田のわりとど真ん中で周りはどんどん新しい店になったり建て替えたりしてるのに、昭和のまんまで変わらないのも考えたらものすごい。
ここの焼きそばが変わってて美味しいと言われていたが、食べに入ろうというタイミングというか気概みたいなものが全く起きなかった。「キャリーケースお断り」みたいな張り紙がベタベタと貼られていたのが影響していたのかもしれない。観光客がすごく来ていて面倒くさそうなオーラーがたしかにあった。混ぜカレーの自由軒みたいな。
今回は例のアレで観光客もほとんどいなくなってしまったので、わりと余裕があるんじゃないかと。そんなふうに考えて初めて行ってみようという真面目な気持ちになれたのだった。
入ってみると思った以上にオールドな作り!次々と滅びていった昭和のお好み焼きの店構えそのものだった。すべてが古いしすべてがスモールサイズなのだった。こりゃたしかにキャリーケースなんかいう大柄なカバンもってこられたらたまったもんじゃない。
案の定、店内は2組くらいしかいなかった。一人だというと通された席が凄かった。人生初の一人用のお好み焼き鉄板席かもしれん。
小さいテーブルに、普通の半分くらいの鉄板があって、正面は壁で仕切られているので向かい側には触れない。完全に1P仕様。こんなお好み焼きシートは見たことがなかった。そして座ろうとしたら昭和サイズの天井の仕切りにうっかり頭をぶつけてしまった。170センチちょいの僕であっても、昭和の建物では巨人になれるのだった。そういうところも古い建物はわりと好きだ。住むのには不便だけど。
なんか狭すぎてひいて写真が撮れないくらい狭い。わかって欲しい。昔のテーブルゲーム筐体の片側だけ使ってるみたいな趣がある。とりあえず焼きそば900円と、大瓶ビール750円を注文する。これらは税込価格なのが安心。
焼きそばは中央の鉄板ブースでおじさんが焼いてくれるようだ。なにもかもがコンパクト。
せまいので、ビールも隅っこでなんとか飲む感じ。まあまあの冷え。あんまりダラダラしていると鉄板の熱で温くなるのがお好み焼き屋飲みの苦しみとしてはある。
焼きそばが運ばれてきた。麺が太いとは聞いていたが本当に太い!これはなかなか無い!キャベツを下にしいて麺をのせるスタイルも変わっているし、具として入っている豚とイカもかなり美味い。濃厚ソースも麺のボリュームに負けていない。900円て観光客価格やんとか思ったがぜんぜん納得感がある。もっと早くくれば良かった。
関西でこの太麺はなかなか無いよなあ。しっかりした歯応えがあってかなり好みかも。これは名物になって当然。食い始めて早くも「この店が無くなったらどこで食べれば…」という心配をしている自分に気がついた。なにせ今年にも閉店してもおかしくない店だ。なくなったら大人しく焼うどんでも作るしかないかもしれん。
大盛りは1200円だそうだが、普通盛りで十分すぎるほど満足感がある。なにこれ。他の人が食べているお好み焼きも見たがかなり美味そうだった。もしかしたら名店かも…というか観光客も前から来てるし、知り合いにも勧められていたのに来なかっただけだった。人間というのは怖い。なんで勧められても「いつでも行けるから」とか思って一生行かないのか。今回は間に合った。お好み焼きも絶対に食べる!
2020年にこんな店が残ってるのがたまらんよな。最後のチャンスと思って今のうちに行っておくべきだし、今の時期がとにかく狙い目かもしれん。
食べ終わってから、もう一軒飲みにいこうかなと思ったが、腹が異様に満足になったのでどこにも行く気がなくなってしまった。ちょっと硬めだから膨れるの?不思議な焼きそばだ。