新潟には萬代橋(ばんだいばし)というのがある。日本一の長さで有名な信濃川の河口にかかる長大な橋だ。JR新潟駅から、かつての街の中心部に行くためにはこの橋を渡る必要がある。駅からはまあまあ歩く。これが面倒で、飲食店やなんかは、次第に駅の周辺に移動するようになってきて、新しい店はだいたい駅のまわりにあるので、わざわざ萬代橋を渡って行く場合は、古くからある街を訪ねる感じになる。
とはいえ、どでかい信濃川を眺めつつの散歩は気分が良い。夕暮れ時はとくにおすすめかもしれない。
渡ってるうちにあっという間に暗くなってしまった。水面に反射する街の灯りが絶妙なんであるが、こういうのは偶然の産物なのだろうか。それにしても見事な景色だと思ってしまう。街中の川の風景としてはもしかしたら日本でも一番かもしれない。
橋を渡った先にある古くからの繁華街は、一体が古町と呼ばれるエリアになっていてシャレじゃなくて本当に地名なのだ。古町のアーケードには、ドカベンの像があって、かつて何となく見学したことがあった。それからしばらくしてドカベンの像を撤去する騒ぎが記憶にあるが、あれからドカベン像たちがどうなったかは実は知らない。話題になることもめっきりなくなってしまったから、やっぱり撤去されてしまったこかなと気になったので見に行くことにしたのだった。
記憶を頼りにたしかこのあたりのアーケードに……と思ったがぜんぜん無い。やっぱり撤去?しかしスマホで調べると、もう一つ先の筋のアーケードとのこと。こういう時にスマホがなくて記憶に頼ってたら永遠に辿り着けてなかったかもしれないのでゾッとする。スマホ時代で良かった。ちなみに前に来たときはガラケーだった。
先のアーケードにくると、あぶさんがしっかりとお出迎えしてくれていた。当時と変わらぬ姿で。あぶさんは『あぶさん』の主人公であって、いわゆるドカベン像ではない。つまりここに展示してあるのは水島新司キャラということなんだが、基本的にドカベンのキャラばっかりなのもあって、ドカベン像と雑に呼ばれているのだった。僕自身、ドカベン像と呼んでしまっていた。まあ、その程度だと思ってもらえれば良い。この像のあぶさんは背が低い。あぶさんは大男の設定だったはずなので、おそらく等身大には作られていない。
いちおう『野球狂の詩』の水原勇気もいる。水島新司では珍しい女性主人公。けど、ドカベンにも出てたので結局ドカベン像でも良いか。
里中。
ドカベン像といえばドカベンももちろんいる。ドカベンだけ外されていたら怖い。このバットでケツバットされる記念撮影がかつてムーブメントになったことがあったが、思いばあれがドカベン像が全国的に話題になった最後だった。なんか水島新司がケツバットに怒って撤去しようとしたなんて噂もあった。真相は不明。
アーケードはこんな感じ。
岩田鉄五郎もいる。岩田鉄五郎もドカベンに出てるからドカベン像でいっかという感じ。ちなみに『あぶさん』にも、南海ホークスのスカウト役で出演してるので、あぶさんキャラとも言えるといえば言える。しかし妖怪像にしか見えない恐ろしすぎる風貌。
殿馬の四角っぷりがすごい。
ドカベン最大のキャラといえば岩鬼。もちろんいるし、なかなかデカい。ドカベン像が設置された当初は、岩鬼の葉っぱがへし折られるというのが定期的にあってニュースになっていた。今では葉っぱは取り外されてしまった。へし折られることは無くなったが、話題になることも完全になくなってしまった。
ちなみにドカベンの水島新司は新潟市の出身なのであるので、敦賀の松本零士像よりは全然文脈が揃ってるが、撤去騒ぎがあったので白けてしまった面も。ブロンズ像で成功したのは水木しげるロードの妖怪像くらいかも。あれは街ぐるみで価値を高めていっているし…。