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ZOZO社長の100万円チャレンジに参加することによって失ってしまうモノと見せつけられた現実。

自分のフォロワーになってリツイートしたら、抽選で100人に対して100万円をあげるとZOZOの社長がぶちあげたらしく、新年のTwitter界は一時狂乱の様相を呈していた。

 

ぜんぜん興味なかったが、前澤氏は当初50万フォロワーだったらしい。それでどうなったのかと今みたら578万フォロワーいた。とするとこの企画で、前澤氏に飛び乗ったユーザーは520万以上はいたということだ。

 

100人に100万円で総額1億円。それでフォロワーが520万人以上増えたのだから、1フォロワーあたり20円以下で買ったみたいなものだ。しかもニュースになり、リツイート記録も作りなので、そのバリューは計り知れないものがある。広告宣伝費と考えても相当に安いのではないか。と、同時に、前澤氏に興味をもっているユーザーの囲い込みも出来ている。これから第二弾、第三弾のキャンペーンを匂わせており、フォロワーの興味を引き続けている。いってみれば無料メルマガの読者を大量獲得したのと変わらない。

 

この騒動によって、前澤氏のフォロワー数は、日本人では1位の有吉(700万)と、2位の松本人志(600万)に続いて3位(578万)にランキングしている。これ以外で500万以上フォロワーは4位のきゃりーぱみゅぱみゅだけだ。スターバックスコーヒーでも450万フォロワーしかいない。かのネットの寵児といわれるHIKAKINなんかでも300万フォロワーにも達しないわけで、500万という数字がどれほど途方もないものかわかる。それにしても有吉がトップなのは、僕としては意味がわからないが…。みなさんの方が詳しいだろうが、別にその理由は知りたくはない。

 

芸能人でもなんでもないおっさんが、マネーパワーでいきなりとんでもない位置に躍り出てきたのだ。もはや金持ちでありトップツイッタラーといって良い存在だ。ホリエモンなんか目じゃない。努力と幸運とネットパワーでなんとか出来るレベルの限界がHIKAKINの位置だとするとその異常さが伺える。

 

ネットビジネスの有名人が、お金をばら撒くと宣伝しただけで500万ユーザー以上を惹きつけてしまった。ばら撒くと宣伝した方も下世話だが、もっと深刻なのは、それで飛びつく人間が500万もいたという辛い現実が可視化されたことだろう。

 

金持ちのバカなおっさんがどんなバカをやったって、はっきりいって僕は興味がない。関わらなければ良いだけだ。そんな僕がわざわざこの記事を書いてるのは、そんなバカに飛び乗る人たちが500万人以上もいたかもしれないという悲しい現実を、無理やりに近い形ではっきりと見せつけられてしまったからだ。

 

以下のサイトの情報によると、日本人のTwitterアクティブは4500万人あたりらしい。これのうち500万ユーザー以上ってのが、どういうことかおわかりだろうか。

 

【最新版】2018年11月更新! 11のソーシャルメディア最新動向データまとめ

 

つまり、自分のフォローを0にしている超有名人アカウントみたいな人でもないかぎり、まず間違いなく自分のTLに前澤氏の例のTwitterが登場してくるわけだ。それも複数回。これはたまらんよ。好むと好まざるとにかかわらず、前澤氏の狂乱に巻き込まれてしまうのだ。これが500万という規模の威力であり暴力だ。

 

僕のフォロワーが、お金に目のくらんだ馬鹿だといいたいわけではない。ぜんぜん逆だ。みんな賢い人類だったのだ。

 

こんな話を聞いたことはないだろうか。動物を捕獲する罠というのがある。動物も馬鹿じゃないから、普通はそんなものは警戒して飛びつかない。罠が威力を発揮するのは、動物が獲物に困り腹をすかせている時だ。人里に降りてくる熊とかいるが、熊とて人里が危険なのは承知している。それでも人里に降りてくるのは、背に腹は代えられない気持ちからだ。

 

それくらいみんなしんどいのだ。世の中の大半の人がお金に苦しんで、疲弊して、時間も奪われている。日本だけじゃない世界規模でそのような事が起きている。その反面、富の極端な集中が起きていて、今まででは考えられない規模のスーパーリッチが生まれている。日本では、たとえば前澤氏がその一人だ。そんな奴がお金を無造作にばら撒いて人気取りをしている。みんな飛びつく。悲惨だ。

 

ちょっと考えればわかると思うけれど、100万円を100人にプレゼントといったからって、自分が当選する確率なんて限りなくゼロに近い。実際に最終的には5万分の1以下とかそんな数字になったはずだ。0.002%以下。当たると思いますか。ナンバーズ4のストレートの当選確率が1万分の1とかで、だいたい100万円くらい当たるらしい。そっちのほうが、まだマシじゃないだろうか。

 

しかも、0.002%以下の確率というのだって、本当にランダムに当選すると仮定しての話。後になって当選者は、前澤氏が意図的に選出しているみたいな憶測が生まれた。そうだとしたら、自分が貰える可能性なんて、最初から0だったかもしれない。0.002%が0%になってもならなくても、もはやどうでもいいが。自分がリツイート&フォローして、前澤氏を有名にしてあげればしてあげるほど、100万円から遠くなるシステムも含めて、実に実にアホらしいゲームだ。普通だったら参加しないだろこんなの。

 

 「ナンバーズ4を買うには200円いるだろ!それからしたらフォロー&リツイートするだけ!何も失うものなんか無いんだから良いじゃないか!」

 

本当か?本当に200円を使うよりも失うものが無かったのだろうか?僕はとてもそうは思えない。

 

 「ただリツイート&フォローするよりも、なんとかして前澤氏の目にとまった方が有利なんじゃないか?」

 

前澤氏が意図的に当選者を選出するだろうという説を先取りして、どうにか彼の気を引こうと必死で夢を語ったり、自分を売り込んだりするアカウントがいた。

 

そこまでではなくとも「ZOZOの社長は貧乏人に札束まいて遊ぶみたいな下品でくだらない事をしてるねー」という当たり前の批判に対して、「夢を与えてくれてるんだ!」「人のお金の使い方に文句つけるな!」とフォローする声がやたら大きくなった。この人たちは200円でナンバーズ買うよりも、何か大きなものを、あっさりと売り渡したんだろうか?しかも0円で?とても悲しくなった。

 

「前澤のゴミ野郎が100万くれるかもって言ってるんでフォロー&リツイートしといたよ!外れたから速攻でフォロー外してブロックしといたよ!」

 

こういう強い人なら何も言うことはない。でも、少しでも助平心でフォローした人は、さすがにそこまで振り切れないんじゃないだろうか。

 

「ジャーナリストは絶対に取材対象と飯を食うな!」という鉄則があるらしい。一緒に飯をくったり、ましてや飯をおごってもらった相手に対して、辛辣な記事が書けますか?という意味らしいが、日本においてはこのあたりのジャーナリズムのモラルがグダグダになっていて嘆かわしいと言われている。

 

100万円あげるって言われてフォロー&リツイートするのも同じじゃないか。しかもこの場合は100万円が貰えることなんかほぼない。これだったら焼き肉のひとつでもおごってもらった方がなんぼか良かった。スピナーベイトとかスプーンみたいな金属の疑似餌に食らいついて釣り上げられた魚くらい悲惨な気がする。

 

何も貰えなかった人たちが一斉にアンチに回ることも無い。前澤氏は釣り上げた魚にも夢を与え続けてくれるからだ。「僕をフォローしていたら得なことありますよ。第二弾も準備しています」などと。余念はないわけだ。

 

事実、第二弾で50万円差し上げます!みたいな偽アカウントに、さっそく何人かがひっかかっていた。

 

こうなっては、もうあなたは前澤氏フォローを外す事は出来ない。いかに前澤氏のお気に召す人間になれるのか?と前回の当選者をサンプルにして傾向と対策を考えようなんてサイトも出てくる始末。このまま、もし第二弾が敢行されたら、前以上に嫌な光景を見せつけられる事になるのではないかと今から心配している。

 

フォロー&リツイートなんて超ローリスク&超ハイリターンだと、あなたはまだ言えますかね。ナンバーズを200円で買うより安いですかね。

 

たかが100万円。いってしまえばたかが100万円だ。そりゃ僕だって、100万円が必要ないといえるほどのお金持ちじゃない。むしろ貧困者であって、100万円あったらそりゃ欲しい。目の前に100万円を差し出されたら、犬の真似くらいならばするかもしれない。この場合は、貰ってから、そんな事を要求した金持ちを、思いっきり軽蔑するくらいはできるけど。欲に負けた自分は棚に上げて。

 

でも、貰ってない100万円をありがたがれと言われたら、さすがにそれは無理だ。まるでベルを鳴らされてよだれをたらす犬だ。現時点ではそこまでは追い詰められていない。自分の運の良さを感謝するしかない。

 

お金持ちが無造作に1億円ばら撒いて、それでどれだけ得をしているかとか、そのお金を作るために、どれだけ貧乏人を生み出しているかとか、それがどれほど下品な行為かとか、僕がいろいろまだ考える事が出来ているのは、たまたまに幸運だからだ。だからその立場にいるうちに書きとめておいた。

 

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