でに氏の家の近所にある焼き鳥屋さんに連れて行って貰った。焼き鳥といってもご覧の通りの焼肉的な焼き鳥であって、串を刺して焼いているようなお店を連想すると少し違う。店のオヤジがけっこうな高齢で、古くから営業してることを伺わせる。
店の外には駐車場と謎のバーベQコーナーがある。なんじゃこりゃと思うが、夏だけのことであって流石に12月の寒空にここで食いたいという需要は無い。
独特すぎる外観。車で走ってて、外観を見た瞬間に「あの焼き鳥屋すごいですね」と言ってしまった。でに氏が「あれがぶたおさんにおすすめしたい店なんですよ」とすかさず。なるほど。
やきとりニュー関と書いている青く光る看板。ちょっとすごいムード。すごくスナック感を出している。そもそもニュー関っでどういうことや。
「ニュー」とかつける店が何故か全国にけっこうあるが、そしたら旧関という店がかつてあったのか?とか言いたくなる性が僕にはある。前にも紹介した『ニューサウナシャン』とかその代表。『キン肉マン』に出てくるニューサンシャインとかは、旧サンシャインがあったから理解出来るのだが…。
店内に入ると全くニューさを感じらない年期の入った内装だった。泥臭さの塊。落ち着く。オヤジはまだ来てないらしく、橋本真也みたいな大柄な店員さんが愛想よく対応してくれた。とりあえず二人で奥のテーブルに陣取る。
びんびん焼 600円
他店ではめったにありません
びらびら焼 600円
当店にしかありません
焼き鳥屋の常識を覆す、全くわからないメニュー表が貼っていた。めったにないものと、この店にしかないもだということのみが伝わる。あと、とにかく下ネタを言いたいんやなと。
僕はわからないので、びんびん焼きを注文してもらった。どうもニュー関の基本となるメニュウのようだ。
さっそく焼き鳥の用意をしてもらう。大根おろしにタレを染み込ませたもので食べるのがウリのようだ。こんなの初めて。
トングというか火バサミにしか見えないもので肉をつかんで乗せていく。ワイルドだ。
店内はこんな様子。僕らが一番乗りだった。カウンターにも席があるが、スナック風のイスになっており各種の焼酎ボトルが並ぶ。飲みに来るだけの人向けだろうか。
壁にもメニュウがたくさん張り出されているが、やはり内容が一切わからないのがすごい。
肉を焼く用のカンテキ(七輪)を出してくれた。七輪の上置きに、火バサミを使用している!こんなスタイルは初めて見た。
とりあえず大瓶ビールをいただく。美味い。でに氏は運転してくれてたのでウーロン茶。車社会の難しさを考えつつビールを流し込む。
店内の装飾もかなり独創的で意味のわからないところが多い。そして換気扇とかダンボール箱の覆いカバーが付いていた。ダンボールカバーだとすぐに交換できる。これは合理的か。
瓶ビール注文した時に、見たこともない栓抜きで栓を抜いてくれたなと思ったら、関市で製造されているPOSHUという新感覚栓抜きを使っているらしい。ネットで調べたら4000円くらいする。高い!栓抜きとしてあまりにも新感覚!これを使ったらどうなるかといえば、ポン!と音がするとか…。なにそれ!?
七輪と飲み物を用意してくれて、すかさず鰹節ののった結構デカい冷奴が二つ出てくる。これ食べて待っててと。突き出しとかではなくサービスらしい。驚いた。
これが、びんびん焼き。何かの肉がけっこうたくさん。この何かの肉を網で焼いで例の大根おろしのタレにつけて食べる。新鮮なのでガチガチに焼かなくても食べれるよと。なかなかワイルドな味がする。これがニュー関の焼き鳥か…。ここでの焼き鳥は串にもさしてないし、鶏肉とは限らない怖さがある。たしかにこの肉は軽く焼いても美味いが、ガチガチに焼くのもありだ。
驚いたことに橋本真也似の店員さんは、さっきまで裏で鶏をシメてたとのこと。そんな店、最近はあんまり聞いたことない。鶏は自分ところで!?
鶏を売ってくれという客までいたとか…。鶏をさばいてるのは付近で知られているようだ。
漬物もサービスで山盛り出してくれた。白菜が新鮮すぎてとても美味い。さらに「まかないのやつだけど」とタイモ的なものを煮たものまで出してくれる。食い切れないレベル。
「当店にしかありません」と書かれていたびらびら焼きの方も気になったので頼んで貰う。さっきのにしても「めったにありません」といったって、かなり「めったにない」気もするが、そうするとここにしかないと言い切れる肉って?
正体は豚のスジ肉らしい!豚のすじ肉を身体のあちこちから集めまくってて、そんな面倒をする人はいないからこの店にしかないとのこと。豚スジを茹でたものに濃いめの味付けのタレみたいなものをかけているものがびらびら焼き。それを網で焼くと美味しく食べれると。たしかに美味しかった。熱処理してるし味付けもしてあるので、焼かずにそのまま食べるのもあり。
そうしてるうちに店の大将が登場。この変な店を作った人というのが一発で納得のいくくらいのハイテンションな人物だった。もう70以上なのは確実なのに、やってくるなり金髪のカツラをかぶって冗談を言いまくる。そしてこれまた大皿で塩キャベツを出してくれた。どんだけ出てくるの!?美味いけど!!
やがて予約の飲み会のお客さんも現れて賑やかになってくる。地元ではやたら支持されてるみたいでお正月も閉めずに営業するとか。驚きしかない。前はランチ営業とかもやってたけど、さすがに人が来なくてやめたとか。関市でランチは無理とまで言っていた。関市の闇である。
しかし長年にわたり支持があるのはたしかにうなずける。店の大将は人懐っこくてめちゃめちゃ話しかけてくるし。このオヤジのキャラクターと独創性がなければこんな店は続かなかったはず。そういえばマーゴの湯は毎日行くと言っていた。
おトイレに行くと、洗面所にニワトリが!どんなセンス!?と思ってたら、どうも意味があるとのこと。酔っぱらった客がこれ見ると、洗面所で吐くのを躊躇してちゃんとトイレに行ってくれるらしい。そんな効果があるなんて!
ひとしきり買い終わってまったりしてると、源氏パイと平家パイを出してくれた。どこまで出してくれるの!?サービス良すぎて…。
しかし平家パイなんてあったっけ?と首を傾げてしまったが、前からあったレーズンパイの名称を変えたものらしい。なるほど。そういえばこのお菓子自体は食べた事はある気がする……。
宴会の人たちが豪勢に焼くので、店内は煙もくもくになってしまった。みたら換気扇(ダンボールで覆われてはやたら)のスイッチが入ってなかった!自分でスイッチを入れる。みるまに吸い出されていく煙たち!自分でオンしなきゃならんかったのだ。
吊るされているニワトリたち!
二人で4200円とかそこらだった。ビール飲んで、食べ物めっちゃ出してくれてこれである。安いよ。
もっとアレコレと肉類を食べてみたかったが、けっこう腹パンパンになってしまったので退散。またぜひ来たい店だ。いつまでやってるのか…。ここは確実に待った無しだろう。
なかなか大阪からは気軽に行きにくい関市であるが、大柄グルメ的なポテンシャルはものすごいものを感じた。